「#MeToo」追放セレブ、その後も続く苦難の日々 無罪となったケビン・スペイシーもマイホームを失う
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 10時0分
あるいは、ピヴェンのように自分でプロジェクトを立ち上げる手段もある。「#MeToo」で告発され、公開直前でプレミアまで行った監督作『I Love You, Daddy』をお蔵入りにされたコメディアンで俳優のルイス・C・Kは、1年近くなりをひそめた後、初心に戻り、スタンダップコメディで仕事に復帰した。
「早すぎる」と批判の声が出ても、耳を貸さずに引き続きコメディクラブに出演したり、コメディショーを自分のウェブサイトで配信したりして、地道に活動している。
それでも、『アメリカン・ハッスル』、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』などに出演した彼にまた優れた映画の話が来るチャンスがあるとは思えない。
晩節を汚したまま引退か
このように、復帰への道を模索し、なんらかの仕事を見つけている男性たちもいる一方、動きがないままの人もいる。『ラッシュアワー』をはじめとする娯楽作を監督したブレット・ラトナー、『バグジー』の脚本家ジェームズ・トバック、『ボヘミアン・ラプソディ』『X-Men』を監督したブライアン・シンガー(彼は、『ボヘミアン・ラプソディ』撮影中の2017年12月に監督をクビになっている。クレジットはされているが、映画を仕上げたのはデクスター・フレッチャー)、『トランスペアレント』でエミー賞を受賞した俳優ジェフリー・タンバーなどがそうだ。
トバックは79歳、タンバーは80歳なので、このまま不名誉な形での引退となるのだろう。50代のラトナーとシンガーが何かを計画しているのかどうかは、わからない。シンガーは「#MeToo」前から性加害に関する訴訟を受けていたし、ラトナーも複数の女性に被害を与えているうえ、中にはレイプも含まれるため、相当に難しいことはたしかだ。
しかし、すべては自業自得。「#MeToo」は多くの男性の人生を変えたが、彼らは被害女性たちの人生を変えたのだということを、忘れてはいけない。
猿渡 由紀:L.A.在住映画ジャーナリスト
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