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「ゆるい働き方」に不安を感じる若手社員の本心 時間に余裕ができたけれど、心には余裕がない

東洋経済オンライン / 2024年11月25日 10時0分

古代ローマに「目的地のない船には追い風は吹かない」という意味の言葉があるそうです。何か目的を持ったときに初めて、単なる情報は自分にとって意味のある“情報”になります。目的を持った探索によって意味のある“情報”を得ることで、少ない時間、少ない労力でたくさんの見返りを期待できるのです。

また、挑戦してみたいことに共感してくれる人を探すことは、やみくもにいろいろな人と会うより多くの気づきが生まれることも、間違いがありません。

④試しにやってみる(試行/Try)

あることが実際に自分にできるかどうかは、誰にもわかりません。それを知るためには、あれこれと調べてみることではなく、少しでいいので試してみることです。「もう少し進んでみてから諦めてみよう」と考えて小さく試してみて、それで「自分に向いているかどうか確認」してみる。この回数を増やすことで、本当はできること、自分の可能性の広さに気づくことができます。

試すためのツールも広がりつつあります。VRで疑似体験できる仕事もありますし、カードゲームでシミュレーションできるかもしれません。インターンシップにも、社会人インターンシップというものがあります。オンラインでの機会も広がっています。疑似的にでも、シミュレーションでも、「少し試して諦める」ことができる環境は広がっているのです。

経験したことを小さく振り返る

⑤体験を自分のものにする
(振り返り/Introspection)

スモールステップの最後のファクターとして、「小さくいろいろとやってみたことを自分のものにする」という要素が必要だと考えています。ただ、いろいろやっているだけでは、スモールステップは完結しないのです。実施したスモールステップに「意味づけ」を行わなくてはなりません。

経験してきたことを小さく振り返ることで、自分の体験が真に自分の血肉となり、新しい気づきにつながっていくプロセスです。このスモールステップを、「振り返り(Introspection)」と呼ぶことにします。

ここまでに整理したキャリア形成におけるスモールステップに厳密な順番はありませんが、①から⑤へ進んでいくのがスムーズかもしれません。①から⑤を行った後に次のスモールステップに結びつき、徐々に大きな行動が可能な状態へと環境自体を変化させていくのです。

若いうちにするキャリアデザインにおいて重要なのは、夢や目標をしっかり考えていくこと以上に、今できることを設計し、リスクを抱えすぎず小さな行動をしていくことだと言えるでしょう。

古屋 星斗:リクルートワークス研究所 主任研究員

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