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コロナ新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか 「冬の対策とワクチン接種の是非」を医師が解説

東洋経済オンライン / 2024年11月26日 9時0分

新型コロナウイルス感染症。新しい変異株と今年の対策について、医師がエビデンスに基づいて解説します(イラスト:mirai4192/PIXTA)

死者数はインフルの約15倍

2024年1~6月の間に、わが国で新型コロナウイルス(以下、コロナ)で亡くなった人数は、人口10万人あたり14.6人。流行のピークだった2022年の38.1人からは大幅に減ったが、死因の2.3%を占める。インフルエンザ(1.0人)の約15倍である。

【表で見る】2024年1~6月に新型コロナウイルスとインフルエンザで亡くなった人数

そんななか、東京大学医科学研究所(東大医科研)を中心とした研究チームが11月6日、コロナの新しい変異株「XEC株」の詳細をイギリスの『ランセット感染症版』に発表した。

XEC株は、オミクロン株の2つの亜系統(KS.1.1、KP.3.3)の組み合わせにより発生したものだ。6月にドイツで初めて確認され、その後、アメリカ、イギリス、オーストラリア、日本など複数の国で検出されている。

東大医科研の研究でも示されたように、XEC株は従来の変異株より高い感染力を持つ。急速に感染者を増やしており、11月初めには、アメリカ国内のコロナ感染者の28%を占めた。

このため、XEC株が今冬のコロナ流行の中心になると考えられているが、今のところ十分な研究がなされていない。現時点で専門家は、XEC株に感染した場合の症状はこれまでのコロナ感染と変わらず、重篤な病状を引き起こすことはなさそうだと考えている。

とはいえ、高齢者など一部の人には恐ろしい感染症であることに変わらない。では、今冬のコロナの流行に対して、我々はどのような対応をすればいいだろう。最新研究の成果を踏まえてご紹介したい。

感染者の7.8%に見られる後遺症

コロナ感染の問題は、死亡者数が多いことだけではない。後遺症に悩む人が多いことも問題だ。

7月、アメリカのセントルイス退役軍人研究教育財団とワシントン大学の研究チームが、『ニューイングランド医学誌』に発表した研究によると、オミクロン株流行下でのコロナ後遺症の発症頻度は、感染者の7.8%だった。

これは流行当初の10.4%、デルタ株の9.5%よりは低い。だが、アメリカでは全成人の7%、全小児の1%がコロナ後遺症を患っているという。XEC株もオミクロン株の亜種だ。多くの感染者が後遺症に苦しむ可能性は捨てきれない。

世界では、コロナ後遺症に関する議論が盛り上がっている。7月24日、『ニューイングランド医学誌』は「ロングCOVID(コロナ後遺症)を定義する」という論文を掲載した。

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