「ソニーKADOKAWA連合」、アニメ業界に走る激震 「ソニーにやられた」、買収すれば勢力図は一変か
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 7時40分
しかしそんなソニーですら、アニメビジネスで足りていない機能がある。IP(知的財産)をつくり出す力だ。
ソニーに枯渇していた機能
IP創出に当たっては、漫画やライトノベルなど電子を含む出版、オリジナルアニメ、ゲームといった選択肢がある。
自社で創出したIPに対して、他社からマルチメディア展開やグッズ化、宣伝利用などの引き合いがあれば、原作使用料というおいしい収入が舞い込んでくる。他社のIP利用で世の中とのタッチポイントが広がれば、原作となったコンテンツにも宣伝効果をもたらすため、エンタメ業界各社はIP創出への意欲を高めてきた。
ソニーにはアニプレックスの「リコリス・リコイル」など、直近でもオリジナルアニメのヒット作は存在する。ただ、アニメやゲームの制作費は年々高騰しており、クオリティを求めると、アニメであれば1クール13話で5億〜10億円規模、ゲームに至っては1タイトルあたり数十億~100億円規模の投資も珍しくない。原作ファンを取り込めないオリジナルアニメを連発することは、投資回収リスクの観点からも非現実的だ。
この点、絵が動かない漫画や活字中心のライトノベルの制作費用はアニメ・ゲームと比べ圧倒的に低く、大量にIPを創出できる。数を撃てるぶん、人気IPの絶対量が積み重なる構造だ。
アニプレックスの代表作となった「鬼滅の刃」から、主題歌が話題を呼んだ「マッシュル-MASHLE-」、「ぼっち・ざ・ろっく!」、「WIND BREAKER」まで、直近でも人気作の多くが漫画原作アニメであるのは、こうした背景に起因している。
有力作品の製作パートナーの座を獲得できるよう、アニメプロデューサーは、集英社の「週刊少年ジャンプ」を筆頭とする漫画雑誌の編集部との関係性構築にいそしむ。アニメの制作物から宣伝、2次利用に至るまで、編集部の先にいる原作作家の意向を尊重することも欠かせず、プロデュースの自由度には制限がかかる。
一方で出版もヒットビジネスであり、大ヒット原作が安定供給される保証はどこにもない。ソニーに限らず、アニメ事業を展開する企業にとって、外部の出版社頼りという構図は無視できないリスク要因となっていた。
ソニーとの連携は「ダイナミックすぎて…」
そんな状況も、KADOKAWAを買収してしまえば一転する。
同社は小学館・集英社を擁する一ツ橋グループ、講談社率いる音羽グループと並ぶ、出版3大グループの一角だ。ライトノベルの有力レーベルや漫画出版機能を有し、2024年3月期のIP創出点数は5900に上る。質の面でも、ライトノベルから漫画、アニメとグループ内でメディアミックスを推し進めた「Re:ゼロから始める異世界生活」を筆頭に、「ダンジョン飯」、「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」など、有力IPをコンスタントに輩出してきた。
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