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忙しい職場ほど「考えない人」が増える驚きの理由 本人と組織の「ラクしたい」が生んだ悲惨な結果

東洋経済オンライン / 2024年11月27日 9時30分

もちろん個々の工夫で自分の仕事を最適化できるのが理想ですが、一方で彼らはそれができない環境の中にいるとも考えられます。やることが多すぎて、何かをじっくり考える時間などとても確保できない状態で仕事をしているのではないでしょうか。

そしてそのやることの中身を明らかにしていくと、大抵が「作業」なのです。

私は「作業」と「思考」は共存することができない、相反する概念だと思っています。一般的に、「思考」とはとてもパワーの要る行いです。時間的かつ精神的に余裕がなければできません。

ですから、思考を促すのであれば、まずは作業の時間を取り除かないといけません。逆に言えば、日々時間に追われ、忙殺されている「作業者」に思考力を求めることはある意味では矛盾しているのです。

多くの企業は従業員の思考力強化を目的に研修やセミナーを企画します。それ自体は素晴らしいことです。しかし忙殺された作業者ばかりの組織にそのような研修を提供しても、残念ながら何かが変わることはありません。

“自分で考える”ことができる社員(部下)を増やしたいのであれば、まずは作業の時間を取り除かないといけません。

次に、別の視点から考えてみましょう。「作業者」となってしまっているビジネスパーソンの視点です。

「忙しい」「余裕がない」「効率化したい(してほしい)」「人が足りていない」という彼らの声は、悲痛な叫びのように聞こえます。しかし、このような言葉は冷静に評価しないといけません。

彼らは、本当に心の底から、効率化したいと思っているのでしょうか。

実際に効率化されると、彼らに時間的な余裕が生まれます。すると、彼らに求められるものは当然ながら「思考」になります。問題解決すること、工夫すること、新しい何かを発案すること、いわゆる「AIにはできないこと」がいま以上に求められることになります。

しかし、「思考」はパワーがいる面倒な営みです。答えが出るのかどうかもわからないことに時間を使うなら、「とりあえずやっておけば間違うことはない」目の前の仕事を忙しそうにこなしているほうが(ある意味で)ラクなのです。

本人は決して口にはしませんが、実は忙しく作業をしているスタイルをあえて選んでいるビジネスパーソンもたくさんいることを私はこの仕事を通じて知りました。

このような人材が「自分で考える社員」になるためには、組織側が強制的に時間的余裕を提供し、作業ではなく思考の結果で人材を評価すること以外に方法はありません。

「ラク」を選ぶ組織から「考える社員」は生まれない

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