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次の狙いは「中東」?欧州鉄道メーカー最新事情 水素車両は一段落、目立つ新車の「納期遅れ」

東洋経済オンライン / 2024年11月27日 6時30分

欧州鉄道メーカーの新型車両たち。手前からシーメンスのエジプト向け「ヴェラロ」と近郊車両「ミレオ・スマート」、アルストムの2階建て電車「コラディアMAX」(撮影:橋爪智之)

2年に一度、ドイツ・ベルリンで開催される国際鉄道見本市イノトランス。その展示の主役として注目を集めるのはやはり鉄道車両だ。2024年もさまざまなメーカーが出展した。日立や中国中車(CRRC)の展示についてはすでに紹介したが(2024年10月5日付記事『日立、国際鉄道見本市に「10年前の車両」なぜ出展?』10月11日付記事『中国鉄道メーカー、「水素車両」を積極展開の裏側』)、その他主要メーカーの出展はどのようなものだったのか。

【写真を見る】いったいどんな車両?エジプト向けとして砂塵対策を施したシーメンスの高速列車「ヴェラロ」

2022年の会場で存在感を示していた水素燃料の話題が一段落した中、展示から見えた欧州鉄道界のトレンドを紹介する。

姿を現した「エジプト向け高速列車」

ドイツのシーメンスは、地元ということもあって多くの車両を持ち込んできた。その中でも一際目立っていたのが、高速列車「ヴェラロ」のエジプト向け仕様だ。

ヴェラロは、ドイツ鉄道の高速列車「ICE3」やイギリスと欧州大陸を結ぶ「ユーロスター」などで知られるシーメンスの高速列車シリーズで、すでにデビューから10年以上経過している。ただ、今回展示されたエジプト向けは砂塵対策を施しており、故障の原因となる細かい砂の侵入を防ぐためのフィルターを装備するなど、特別な対策が施されている。

【写真】高速列車「ヴェラロ」エジプト仕様や、機関車とデザインを合わせたチェコの客車「ヴェクトレイン」、バッテリーと水素燃料の両方に対応可能なローカル線用車両「RS ZERO」など欧州鉄道メーカー各社の新型車両

ちなみに、日立が出展した高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ」も、今回展示した新型は砂塵に対応した設計であるとアナウンスされている点は興味深い。

欧州メーカーの地元以外の輸出先としてはこれまでアメリカやアジアが多かったが、砂塵対応を施した車両の登場で、今後の新たな輸出先として中東地域に注目が集まっていることがうかがえる。

昨今、欧州では車両の納期が守られず、何年も延期されることが珍しくない。シーメンスがこの課題に対応したのが、近郊用車両「ミレオ・スマート」だ。注文を受けて試運転から運用開始まで、わずか18カ月以内に完了するとしている。

これまで以上にレディメイド化を徹底し、国や地域に合わせた特別注文をやめ、工場では電化方式や信号方式など最低限の仕様に合わせてパーツを組み合わせるだけにとどめて納期の短縮を図った。ミレオ・スマートは欧州の主な国の鉄道で認証を得ており、試運転後はすぐに営業開始が可能としている。メンテナンスパッケージを選択すれば、契約期間中の日常的な保守はもちろんのこと、故障などはすべてメーカーが無償で対応する。

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