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広告宣伝ゼロでも「SHIRO」が圧倒的支持得るなぜ OEMを経験したからこそ突き詰めたい"本質"

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 9時40分

表参道にあるSHIROの本店

企業を取り巻く環境が激変する中、経営の大きなよりどころとなるのが、その企業の個性や独自性といった、いわゆる「らしさ」です。ただ、その企業の「らしさ」は感覚的に養われていることが多く、社員でも言葉にして説明するのが難しいケースがあります。

いったい「らしさ」とは何なのか、それをどうやって担保しているのか。ブランドビジネスに精通するジャーナリストの川島蓉子さんが迫る連載、第21回は、「SHIRO」を取り上げます。

原料そのものから突き詰める

街を歩いているとSHIROのショップに目が留まる。すっきりしたシンプルなインテリア、美しい佇まいで並んでいるコスメの数々、さりげなく、しかし明確に記されているロゴなど、遠目からでもSHIROとわかる。

【写真】東京・表参道にある本店のアトリエのような店内には、化粧品に使われている素材がズラリと並ぶ

しかも、ショップのロケーションはどこも一等地であり、多くのお客で賑わっている。激戦区と言えるコスメ市場において、ブランドを確立した理由はどこにあるのか。

SHIROを手がけるシロのオフィスは、表参道交差点近くのビルの上階にある。エレベーターホールを抜けると広々とした空間が――大きな窓から光が降り注ぎ、SHIROの品々が整然と並んでいる。個性的なスーツに身を包んで現れた社長の福永敬弘さんとの話はいきなり化粧品業界の裏側から始まった。

「化粧品会社が作っている製品の中には、さまざまな原料メーカーから『当社で新しい原料を作り、実証実験も安全性も確認済みですので、是非、使ってください』と提案され、そのまま使うものが多いと思います。しかしシロは、まず原料そのものが、どこの誰がどんな風に作ったものか、自分たちで突き詰めることにしているのです」(福永さん)

また、たとえば「ヒアルロン酸配合」といった成分表示は、ヒアルロン酸を一滴でも加えればできるそうだが、SHIROは狙った効果のための適正量を配合することに徹している。

化粧品雑貨のOEMを経験して決めたこと

SHIROらしさとは何なのだろうか。福永さんは「確固たる意志を持ったブランド」だと語る。企画、製造、販売のすべてを自分たちで手がけ、卸売りを一切やらないなど、シロとしての意志を貫いてきたのだ。

その意志の背景には同社の生い立ちがある。シロの前身は、北海道の砂川市で1989年に創業したローレルという企業。ハーブや石鹸の通販、ジャムやドレッシングなどの卸販売からスタートし、化粧品雑貨のOEMを手がけるようになった。

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