1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

広告宣伝ゼロでも「SHIRO」が圧倒的支持得るなぜ OEMを経験したからこそ突き詰めたい"本質"

東洋経済オンライン / 2024年11月28日 9時40分

そのゴールはどこに向かっているのか。「2038年には1億人のお客様と、昨年、決めたのです」という言葉が飛び出した。積み上げ的に試算したものではない。

福永さんが65歳を迎える2038年に、日本の人口はおよそ1億人と推定されており、「それくらいの規模感で、国内外のお客様がつくことを目標と定めました」(福永さん)。しかもこれは根拠なき話ではない。過去の売り上げと顧客分析の趨勢をもとに、未来を予測してみると、達成可能域に入っている数値だという。

また、顧客の支持を大事にしているが、ものを作るためにマーケティングはやらないと決めている。確実に売れるものを作ろうとすると、現状の売れ筋の延長線上に浮かぶもの作りになってしまう。開発して製品を出す頃には、市場はもうその製品を欲しがっていないからと福永さんはとらえている。

だから、自ら感度のいいアンテナを立て、自分たちが本当に欲しいと思っているもので、顧客も欲しいと感じているものを、半歩先くらいのタイミングで世に送り出していく――そのバランス感を大事にしているという。

2019年、ブランド名を「shiro」から「SHIRO」に変えて炎上したことがあった。「お客さまと自分たちのかかわりという意味で、大きな勉強になりました」と福永さんは振り返る。

ブランドが急成長を遂げている最中でもあり、より存在感のあるロゴのほうがグローバルに伝わりやすいという意図のもと、ブランドロゴを変えたのだが、自分たちがどうありたいかに比重を置き過ぎていた。リブランディングの進め方や丁寧さに欠けていた。顧客のペースや思いを勘案することを忘れてはならないと自らを戒めたという。

経営陣が走りながらニュースを作っていく

シロが掲げている理念は「世の中をしあわせにする」、ビジョンは「良いものを、より多くの人に届けたい」。創業来の意志を貫きながら、社員に伝え実践していくには、どうしているのかと聞いたところ、「経営陣が走りながら、ニュースを作り続けていくことです」と返ってきた。

経営トップが、次々と新しいことに挑戦し、形にしていく。そうすることで、「SHIROは、理念を守り、ビジョンを達成するために突き進んでいる」と社員は理解し、各々の仕事を通してそれを実行していく。それは社外に向けても同様であるという。

実際、シロは次々とニュースを作っている。

2023年春、ブランドの出身地である北海道砂川市に自社工場である「みんなの工場」を作った。一般の人も製造工程を目の当たりにできるように、壁で仕切るのではなくガラス張りになっている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください