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「森且行」SMAP脱退→"日本一"→ケガ、続く挑戦 「一生車いす生活になるかも」と診断された

東洋経済オンライン / 2024年11月29日 9時0分

元アイドルという肩書は重くのしかかり、観客席からは冷たいヤジが飛び交い、その一言一言が胸に鋭く突き刺さる。

「『死ね!』なんて言われたこともありましたよ。みんな、アイドルが遊び半分で来たと思ってたんでしょうね」

その言葉は痛烈だったが、森は「速くなること、それだけが自分のすべてだ」と信じて全力で走り続けた。少しずつ努力は実を結び、G1やG2のタイトルを手にする頃には、周囲の反応も変わっていった。

「新人王を取った頃から、ヤジも少なくなっていった」。それでも、心はまだ満たされていなかった。

「SGを取らなければ、本当の意味で認められない」――そう自らに言い聞かせ、さらに高みを目指した。

しかし、20年以上もの間、その目標に手が届くことはなかった。焦りが胸を締め付ける。

「自分には本当に日本一になれる力があるのだろうか?」

森は自問し続けた。どれだけ努力しても、その問いが心を静かにむしばんでいった。

新しい地図の3人が森を奮い立たせた

そんな森に訪れた転機。それは、「新しい地図」の3人がABEMAの番組で浜松のレース場を訪れてくれたときだった。SMAPが解散し、それぞれが新しい道を歩み始めた彼らの姿を目の当たりにし、森の心は深く揺さぶられた。

「3人が来てくれたことが、自分にとって大きなきっかけでした。もし彼らが来なかったら、今の自分はいなかっただろうし、考え方も全然違っていた。『もう一度、踏ん張ってみよう』と思えたのは、間違いなく彼らのおかげです」

その瞬間、森の中で止まっていた何かが再び動き出した。仲間たちはSMAPで日本一を手にしていたが、森だけはまだその夢をつかめていなかった。

「自分も日本一をつかみたい」

それは、SMAPの仲間たちと交わした約束であり、森が走り続ける理由そのものだった。

そして迎えた2020年11月3日。オートレース日本選手権の優勝戦――森にとってキャリア最大の瞬間が迫っていた。スタートの合図が鳴り響き、彼は全力でアクセルをひねった。

「スタートが決まった瞬間、これはいけるって思った」

序盤から好位置につけた森は、6周回で先頭に立ち、そのまま誰にも譲らず、目の前にはゴールラインが迫る。その瞬間、24年越しの夢が現実となった。

「やっと日本一になれたんだ。本当に神様が見ていてくれたんだ」と、森は心の中でつぶやいた。

中居からの一言が森を救った

しかし、その栄光も束の間だった。わずか82日後、運命の試練に直面する。森はレース中に落車。フェンスに激突した。

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