「森且行」SMAP脱退→"日本一"→ケガ、続く挑戦 「一生車いす生活になるかも」と診断された
東洋経済オンライン / 2024年11月29日 9時0分
「多発肋骨骨折」「肺挫傷」「腰椎破裂骨折」「骨盤骨折」――。
それは、命が助かったこと自体が奇跡といえるほどの重傷だった。
両足はマヒし、感覚を失った。周囲の人々は「もう無理だ」と思った。そんな絶望感に包まれていた森の携帯が鳴った。中居からのメールだった。
「神様は乗り越えられない人には試練を与えない。だからお前は乗り越えられる」――その一言が森の心に響いた。すべてを失ったように感じていた森の心に、一筋の光が差し込んだ。「これを乗り越えるしかないんだ」と彼は再び立ち上がる決意をする。
森は4度の手術を受け、体内に24本のボルトが埋め込まれた。見守る兄に医師は「歩けるようになるかどうかもわからない」と告げたが、森は諦めなかった。医師に「通常の2倍のリハビリをさせてほしい」と頼み、弱音を吐くことなく、「復帰することが恩返しなんだ」と支えてくれる家族、医師、仲間、同期、そしてファンの期待に応えるため、厳しいリハビリに挑み続けた。
そして彼の脳裏に浮かんだのは、日本一を勝ち取ったあの日のことだった。
「ケガをするのは神様がわかっていたことで、だからこそ日本一にさせてくれたんだと思ったんです。あの時、日本一になれていなかったら、引退していたかもしれない。でも、日本一になったからこそ、諦めずに続けられました」
骨盤に埋まるボルトとともに日本一を目指す
リハビリ中、森を支えたのはSMAPの「前に!」という曲だった。歌詞の「前に前に」というフレーズが、彼に前進する勇気を与え続けた。
「前に前に 僕ら走り続けいつか辿り着くさ 夢見てた場所へ
前に前に いつでも 前に前に空の彼方 僕らもっともっと飛べるよ」
迎えたリハビリの最後の試練は、1階から18階までの階段を登り切ることだった。
森は一瞬「嘘だろ?」と驚いたが、一歩一歩、痛みに耐えながら階段を登っていく。
そして、その努力はついに実を結んだ。
「最後の階段を登り切った瞬間、何かが解放されたような気持ちでした。『やっとここまで来た』ってね」と振り返る。
森が落車してから約1年を迎えた2022年1月、5回目の手術が行われた。背中に埋め込まれていたプレートと250グラムのボルトは、4時間の手術で取り除かれたが、骨盤を支えるボルトだけは一生残ると告げられた。それでも森の決意は揺るがなかった。彼はすぐにリハビリを再開し、次のステージに向けて準備を進めた。
怪我から2年3カ月が経ち、ついに復帰戦を迎えた。50歳となった彼は、S級レーサーとしての地位を取り戻し、さらに高いランクへと上り詰めた。
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