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アメリカの「宇宙政策」がマスク主導で大転換へ 揺れる同盟関係と加速する中国との競争

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 10時30分

ドナルド・トランプ氏(写真:© 2024 Bloomberg Finance LP)

NASAをはじめ各国の宇宙機関は現在、有人月面探査の再開、そして有人での火星探査を目指すアルテミス計画を推進しているが、アメリカの大統領が民主党のジョー・バイデン氏から共和党のドナルド・トランプ氏に代わることが決まったことでどのような変化が起こるのか。現時点でわかることを調べてみた。

【写真で見る】中国の月面着陸探査機

米大統領選挙は、激戦州の票を獲得したトランプ氏が制し、大統領への返り咲きが決定した。トランプ氏は、選挙戦で1億ドルを超える巨額の支援を行ったイーロン・マスク氏を、新たに設立する「政府効率化省」のトップに据えることを明らかにしている。

政府効率化省は正式な政府機関ではなく、諮問委員会的な組織となる。これは事業家であるマスク氏に対する利益相反規制の適用を回避するためだと指摘されている。そしてマスク氏は、この政府効率化省において政府支出を2兆ドルも節約すると豪語している。

マスク氏は選挙におけるトランプ氏への支援に対する見返りとして、新政権で大きく広範な影響力を持つことになると予想されており、すでにマスク氏がトランプ氏に対して国防総省を含む政府機関にSpaceXの主要従業員を採用するよう助言したことがThe New York Times紙によって報じられている。トランプ氏がマスク氏の要求を受け入れれば、SpaceXに多大な利益をもたらす可能性がある。

政権に食い込むイーロン・マスク氏

トランプ氏、マスク氏ともに、自らの目的・利益のためなら既存の規律や規範を軽視する傾向があることは、これまでの両氏の行動を見れば明白だ。両氏とも、社会的に批判もされれば、訴えられもしている。それでいて、熱狂的な支持者がいるのも二人の共通点だ。

特に、マスク氏は自己資金でSpaceXを設立し、宇宙ロケットを再利用可能なものにするという、それまでどこの宇宙機関も成し得たことのないアイデアを実現させてきた。Starlink計画では、軌道上に無数の小型通信衛星を配置して、通信インフラのない地域にブロードバンドインターネットを届けるという、常識的な発想ではなかなかできないことを他社に先駆けて行っている。

一方、NASAはアメリカの政府機関のなかでも最も肥大化し非効率的な組織と言えるかもしれない。NASAのフィールドセンターはアメリカ国内全10カ所にあり、各センターがそれぞれ、独自の管理層、人事体制を持ち、それぞれに膨大な経費がかかっている。

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