路上ライブは「グレーな文化」として容認すべきか 「迷惑行為」「アーティストとしての表現」境界線
東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時51分
そして、あまり言及されないが、迷惑かどうか判断される基準のひとつに「アーティストの技量」もある。
先ほどのたとえで言えば、かなり音程の外れた歌声だったらどうだろうか。聴くに堪えない状況。逆にこちらは迷惑行為と受け取られる可能性が高い。
テレビ番組の企画ではないが、逆にこの歌い手がプロの歌手。変装した有名アーティストだとする。
駅前の広場に響き渡るのは超一流の歌声と聞いたことのある名曲。迷惑どころか、かなりの確率で許容されるのではないだろうか。
ただし、人だかりができれば当然、通行の妨げになるのでこれは迷惑行為となるであろう。極端なたとえではあったが、アーティストの技量も影響していると言えるだろう。
路上ライブには法的に罰せられるような迷惑行為とならないように行うという明らかなルールはもちろん、それ以外のアーティストも守るべき、最低限の暗黙のルールが存在する。
それらは路上ライブの盛んな地域では情報がアーティスト同士やファン同士で共有され、守られ秩序が保たれてきたという側面もある。
たとえば、路上ライブが盛んな場所では「この場所はNG」といった情報がアーティストやファン同士で共有される。音量もこの程度なら大丈夫といったこともそうだ。
過去に注意や摘発された場所、揉め事が起きたなど理由はさまざまだが、路上ライブが行われてきた歴史の中で生まれた暗黙のルールがある。
だが、コロナ禍で外出が控えられる中で、一時的に路上ライブが途絶えた。
そしてコロナ禍が明け、新しく路上ライブを行うものが増え、それらの暗黙のルールがリセットされるなかで、ルールから逸脱した、ただの「迷惑行為」を行うアーティストが増えているのが現状ではないだろうか。
もちろん、コロナ禍以前もそのようなものはいたが、迷惑行為は通報され、その場で路上ライブを行う皆が迷惑を被るわけで、ほとんどのアーティストは度をわきまえていた。
今回の一連の流れは、そんなルール無視の迷惑行為に対して、警察当局は「本気を出せば摘発できる」といったアーティストへの警告という側面が大きいと言える。
実際、報道後、南口では路上ライブの数も明らかに減っており、一定の効果はあったと言える。
では、今後、路上ライブはどうなっていくのだろうか。ルールを守れないものが増えれば、当然ルールは作られることになる。
全国的に増える公認路上ライブ
いま、路上ライブは「新たな動き」を見せている。それはストリートパフォーマンスを公認のものとし、地域活性化のために行うというものだ。
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