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路上ライブは「グレーな文化」として容認すべきか 「迷惑行為」「アーティストとしての表現」境界線

東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時51分

新宿であれば、歌舞伎町タワーの敷地内でストリートライブが行われており、多くのアーティストが申請のうえ、公認のパフォーマンスを行っている(歌舞伎町タワー「路上ライブ開放」は超画期的だ)。

ファンのみならず歌舞伎町を訪れる外国人観光客なども足を止め音楽を楽しむ姿が印象的だ。

また、千葉県は柏駅前のペデストリアンデッキでは昔から行われていた路上ライブを市と市民団体が連携してルールを作り公認のものとして行い「音楽の街かしわ」として盛り上げている(「路上ライブを公認!」"柏ルール"に学ぶ3つの視点)

さらに公認というだけでなく、今年からは警察への道路使用許可も年間を通して取っており、登録アーティストは堂々とパフォーマンスを披露できることとなった。

そのほか、横須賀駅前や日本橋の地下歩道などでもイベントの形ではあるがストリートライブが行われるなど公認の動きが活発になってきている。

公認化により、違法性が高くなる路上ライブ

公認で人気の場所、イベントには売れたい若手アーティストからの申し込みが殺到する。当然、すべてのアーティストが演奏できる場所もあればそうでない場所、イベントも多々ある。

ストリートで行われるイベント等に出られないアーティストも多く、そういった人たちはリスクを冒してでもやはり路上ライブを行い、自身の音楽をアピールしたいところだろう。

しかし、公認の場所が広がっているということは、逆に言えば「それ以外は完全に違法」という宣告がなされているのと同等と考えられる。

先の柏駅前などはまさにそれに当てはまり、道路使用許可がおりている場所があるということは、それ以外でのパフォーマンスは違法とみなされるリスクが高まってくる。

許可を得たことでかえって縛りも厳しくなったというわけだ。

これらのことから言えるのは、路上ライブは今、「グレーゾーン」がなくなり、完全に「白」か「黒」かの状態へ移行している、ということではないだろうか。

現在も「グレーな状況」で路上ライブが行われている場所として川崎駅前が挙げられる。

ここは完全な「グレーな状態」にある。というのも川崎市の条例等で禁止はうたわれていないし、市も禁止を呼びかけてはいない。

市のホームページでも路上ライブやパフォーマンスへの「遠慮いただきたい行為」として、迷惑行為への配慮の呼びかけにとどまっている。

演奏と通報のいたちごっこ

だがやはり日々、警察への通報があり、そのたびにアーティストが注意を受け演奏が止まり、撤収するといったことが繰り返されている。

こういった状態があまりにも長く続くようであれば、全国的な流れから見ても「公認とするか」「禁止とするか」といった判断が、遅かれ早かれ自治体に迫られることだろう。

公認の場所が増えるにつれ、無許可での路上ライブへの規制は今後、ますます強まっていくと言える。悪質な路上ライブに対してだけでなく、全体的に取り締まりは厳しくなることが予想される。

また、こういった摘発があると世間からの路上ライブを行うアーティストへの風当たりも強まるだろう。

だからこそ、路上ライブを行うアーティストはもちろん、見る側もきちんと考え、地域行政とのあり方も含めて改めて路上ライブに関して議論すべき時ではないだろうか。

*この記事の前半:【遂にアイドル摘発】「路上ライブ」取り締まるべきか

松原 大輔:編集者・ライター

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