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マタギ修行する31歳、秋田で送る「最高の移住生活」 4LDKの一軒家に1人暮らし、山で糧を得て生きる

東洋経済オンライン / 2024年12月2日 9時0分

マタギになるためには、クマを“授かる”ことが絶対条件(写真:岡本健太郎さん提供)

コロナ禍の2022年6月、岡本健太郎さん(31歳)はマタギの後継者になるために、秋田県北秋田市の最南部に位置する大阿仁地区に移住した。都会に住む若者がなぜ移住し、マタギをめざしたのか。詳しくは前編に記した通りだ。

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大阿仁地区は山間に9つの集落が点在し、人口700人余り。高齢化率が約60%という限界集落だ。

どうやったら「マタギ」になれるのか

小さな集落を囲むブナの森、山の奥深くにクマが棲むマタギの猟場がある。移住の初日、岡本さんの心は高揚する。だが、数日を過ぎた頃、岡本さんは自分の誤算に気がついた。

「マタギになるために必要な狩猟免許取得、猟銃所持許可の認可、猟友会入会という3つの条件を、年内にクリアできそうにないことを知ったんです」

移住体験のとき、マタギになるためには、狩猟免許と猟銃所持許可を取得して、猟友会に入会する必要があると教えてもらっていた。だから岡本さんは移住後、すぐに猟友会の事務局に行き、免許の取得や入会について尋ねる。

狩猟免許には、わな猟免許と銃猟免許がある。その内容は、筆記試験と適性試験、組み立てから解体までの実技を審査する技能試験だ。どちらも猟友会が事前講習会を開催してサポートしてくれるという。

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猟銃所持許可のほうは銃刀法に基づいて公安委員会に認可申請をする必要があり、認可が非常に厳しいらしい。

「銃による危害を防ぐために、不認可になる欠落者の要件が定められていて、申請者の身辺調査のほかに犯罪歴や借金、近隣トラブルがないかなど、揉め事の火種を持っていないか徹底的に調べるそうなんです」

また、狩猟免許と猟銃所持許可の両方を取得したとしても、猟友会に入会できるのは、最短で猟期前の10月にある総会の時だという。

岡本さんは、ぎりぎりで今年の猟期には間に合うと思っていた。しかし、猟銃所持許可は認可がおりるまで半年くらいはかかると言われ、あえなく撃沈した。

「年内は何も活動できないと知り、どうやってマタギの輪に入っていけばいいのかイメージできず、落ち込みました」

狩猟免許は事前講習会を受けて、翌月には取得できた。しかし、次はどうしたらいい? テレワークで仕事を順調にこなし、生活のペースは整っていくのに、マタギにはなれない。

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