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朝ドラ「おむすび」をそれでも私が見続ける理由 大阪制作としてのコメディとリアリティを

東洋経済オンライン / 2024年12月3日 9時30分

とにかく安心して見ていられる。背景にあるのは、橋本環奈が持つ芸能運動神経の高さだろう。

そして「糸島編」ではみりちゃむ、「神戸編」では「神戸栄養専門学校」で橋本環奈の同級生を演じる平祐奈が良いことも、諦める気持ちを萎えさせる。

また、麻生久美子演じる、いい意味で鷹揚な母親がとにかくいい。ただ残念なのは、母親に対して、北村有起哉演じる父親の狭量さに共感しにくいところ……。

まだ何が起こるかわからない

そもそも大阪制作朝ドラには何が起こるかわからない。

最初から最後まで高値安定だった『カーネーション』は別格として、川栄李奈が出てきて、後半一気にスパートした『カムカムエヴリバディ』や、逆に、前半が劇的に盛り上がりながらも、戦禍の恋愛パートでダレてしまった『ブギウギ』(2023年)など、何が起こるかわからないのだ。

というわけで、ここからは、見続けると覚悟を決めた上で(よく出来た12月2日放送分で覚悟はさらに固まった)、「もっと、こうなったら盛り上がるのに」という期待を述べておきたい。

1つ目は「もっとコメディを」という期待だ。そもそも大阪制作である。もっとドタバタガヤガヤピョンピョンと、弾けてくれればいいのにと思う。何せ、仲里依紗、橋本環奈、キムラ緑子が揃っているのだ。

仲里依紗は何といっても今年の『不適切にもほどがある!』。同じく宮藤官九郎脚本のNetflix『離婚しようよ』(2023年)でも冴えていて、今や「宮藤官九郎ドラマの女王」の風格さえ漂う。『おむすび』でのパンチの弱い使われ方は、さすがにもったいない。

橋本環奈は、日本テレビ『今日から俺は』(2018年)で見せたヤンキー姿、惚れ惚れとするような見事な快演(ある意味「怪演」)が忘れられない。あのドラマで消費したコミカル運動神経を10点とすれば、『おむすび』では5点に満たないのではないか。

その上で、天下のキムラ緑子である。『ちりとてちん』、『ごちそうさん』(2013年)での見事な演技。こちらは、藤山直美と並ぶ「大阪制作朝ドラ」の女王だ。

それが今のところ(執筆時点=12月2日放送分まで)、11月21日放送分、ヘアサロンヨネダで顔全体にパックを貼ったシーンぐらいしか、笑いを任されたシーンがなかったのではないか。何という無駄遣いだろう。

「仲里依紗、橋本環奈、キムラ緑子」、このトライアングルで、ドタバタガヤガヤピョンピョンとコミカルなシーンを連発してほしい。それはNHKにはぴったりのはずである。なぜなら3人の頭文字を並べれば……。

リアルな関西臭がクレンジングされている

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