日本人に多い「会社嫌い」なぜ深刻な問題なのか 社員を機械のように考えるマネジメントの誤り
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 11時0分
長年にわたり人材・組織開発に携わってきた福澤英弘氏によれば、日本の従業員エンゲージメントは非常に低く、そのような企業では生産性は上がらず、イノベーションも生まれにくいそうです(写真:jessie/PIXTA)
友だちの数、生産性の高いチームのメンバー数、縦割り化する会社の社員数……。これらの人数は、進化心理学者のロビン・ダンバーが発見した「ダンバー数」や「ダンバー・グラフ」に支配されている。古来人類は、「家族」や「部族(トライブ)」を形作って暮らしてきたからだ。
メンバー同士が絆を深め、信頼し合い、帰属意識をもって協力し合う、創造的で生産性の高い組織を築くためには、このような人間の本能や行動様式にかんする科学的な知識が不可欠である。日本語版が2024年10月に刊行された『「組織と人数」の絶対法則』について、人材・組織開発を支援する株式会社アダットの設立者で代表取締役の福澤英弘氏が解説する。
組織関連の問題への3つのアプローチ
規模の大小に関わらず、経営に携わる者で組織に関して悩まないものはいない。
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組織関連の問題へのアプローチは、大きく3つに分類できる。ひとつは、組織が経営の意図にできるだけ沿って機能するような構造をつくり、それを統制するための方法に関するもの。いわば制度系。
このアプローチは原則として、Aというスイッチを押せば「ルール」に基づきBという結果が出るという前提に基づく。
例えば給料を上げれば、ヒトはもっと働くようになるというように。ざっくり言えば、ヒトを機械と同様にみなす。
2つめは、組織を構成する個の能力に着目したもの。XX思考といったような専門知識・スキル開発、マインドセット設定がその典型の、いわばマインド・スキル系。
組織を構成する個の能力を高めれば、自ずと組織の能力も高まり、業績が向上することを前提とする。構成する部品の品質が高まれば、製品の品質も高まるという前提に基づく。
部品たる社員も、自らが保有する部品の能力を向上させ、自分という製品の価値を高めるために資格取得や自己啓発に勤しむ。これも機械のアナロジーである。
3つめは、個と個の関係性に着目したもの。組織の能力は、必ずしも個の能力の総和にはならない。関係性によっては、総和を超えることも下回ることも普通に起こる。
皆さんの周囲でも珍しくないことだろう。個と個は相互依存関係の網で結ばれており、感情にも左右され機械と違って理屈どおりには動かない。感情は人それぞれ、合理的ルールが適用できないからこれは難しい。
しかし現在の経営にとって、3つめのアプローチの重要性が高まっている。どうすればいいのか? 本書ではルール(法則)として、進化心理学が適用される。
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