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加齢による「関節の痛み」引き起こす2種類の筋肉 「使わない」のも「使い過ぎる」のも痛みの原因に

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 7時0分

筋肉を鍛えることが大事だと述べてきましたが、筋トレの負荷が大き過ぎると筋肉を傷めるリスクがあります。さらには関節を傷めるリスクもあります。これは、患者さんを見ながら私が日々痛感していることです。

筋肉を鍛えるために懸垂や腕立て伏せをしたり、スポーツジムで重いバーベルを持ち上げたりした結果、体中がクタクタ筋になってしまった患者さんを私はたくさん診てきました。ジムでベンチプレスやショルダープレスなどをやり過ぎて、肩の腱板断裂になる人も本当に多いのです。

その一方で、全然運動をしない人の筋肉は、すでに弱くなっています。そういう人が急に筋トレをすると、本人は「少しやった」つもりでも、やり過ぎになってしまいます。逆に言うと、そういう人は「軽く」動かすだけで効果があるのです。できる範囲で、根気強くやっていくことで、効果が出るのです。

「やり過ぎては傷める」「軽く動かすだけで効果が出る」という事象は、筋肉だけではなく、関節にも当てはまります。負荷をかけ過ぎると、関節は壊れてしまいます。けれども関節をまったく動かさなければ、関節は弱くなります。関節が弱くなっている人は、少し動かすだけで「やり過ぎ」になってしまいます。適切な負荷をかけてこそ、関節も強くなります。

あなたは筋骨隆々の体になりたいわけではないですよね? 節々の痛みがなくなって、健康寿命が延びることを望んでいることと思います。そうであれば、弱い負荷をたくさんかけるのがベストです。

大人の筋肉にとって大事なのは「焦らない」こと

強い負荷をかけると、逆に関節を傷めてしまうことを肝に銘じてください。若い頃は野球に熱中していたという80代の男性がいます。甲子園には行けなかったけれど、練習すればうまくなる、弱点は克服できる、なにより努力は裏切らないことを学んだそうです。

ところが社会人になってからは、いつのまにかスポーツから遠ざかってしまったそうです。その代わり夜の付き合い酒が増え、気がつけば、すごいビール腹に……。

これではいけないと一念発起して、定年退職後に近所のスポーツクラブに入会したそうです。昔のスポ根を思い出して筋トレに励んだのですが、数年前に腕がおかしくなって整形外科に行ったところ、腱板断裂だと診断されてしまったとか。

以来、怖くなって、クラブは退会。もう何もしていないそうです。せっかく張り切って筋トレに挑戦したのに、どれほどがっかりされたことでしょうか。

そういう人は珍しくありません。ジムでパーソナルトレーニングを受けて自分を激しく追い込んだら腰を傷めたとか、ベンチプレスで肩鎖関節炎になったとか。腱板断裂もよくあります。

大人の筋肉にとって大事なのは、焦らないこと。筋肉をゆっくり、優しく、少しずつ鍛えていけばきっと良くなります。大丈夫。筋肉は裏切りません。幾つになっても変わります。若いときのスポ根とは違いますが、優しくゆっくり変えていくことはできますよ。

歌島 大輔:日本整形外科学会認定スポーツ医

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