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アイデアの歴史から紐解く「ミニマム財布」最前線 革財布を変えた名品5選が問う財布の存在意義

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 8時0分

現代における財布の機能を考えると、現金を出し入れするというよりも、例えばクレジットカードの控えの保管とか、買い物メモを持ち歩くとか、診察券や身分証明書など生活で使うカード類の収納、そしていざという時のコインや紙幣を携帯するために必要な存在なのではないでしょうか。

それなら、これらが整理できればOKだろうという思いきりのよさから作られたこの財布は、とても使い勝手がよいと思うのです。

もはや抽象的な意味での財布ですが、こうした財布がポケットに入っているのは心強いはずです。実際、カードや領収書、控えやメモなど小さな紙片の収納場所には財布が一番便利なのです。

さらに外側にもポケットを付けて、ICカードや頻繁に出し入れするカードを入れられるという仕様はなんとも心憎いです。

画期的なアイデアで「留め具の出っ張り」を回避

ミニマムな財布を作るにあたり最も難しいのが、二つや三つに折り曲げた革をどうやって留めるか、という部分です。使うと分かるのですが、財布が小さく薄くなるほど、留め具の出っ張りがポケットやカバンに引っ掛かりやすいことに気がつきます。また部分的に出っ張りがあることで、せっかくの薄さも伝わりにくくなってしまうのです。

ところが、SYRINXの『Hitoe Fold』シリーズは、その問題を見事なアイデアで突破しました。個人的には、2011年以降に作られたミニマム財布で最大のアイデアではないかと思います。

それは、二つ折り財布のカード入れの端に切れ込みをいれて、折り畳んだ財布の端をカードに引っ掛けて留めるという方法です。ぜひ写真を参考にして頂きたいのですが、この方法だと財布の表面に全く出っ張りが生じません。

カードを入れなければ閉められないと言われればそうなのですが、現金よりカードを持ち歩く人は多いのではないでしょうか。このスタイルのおかげで、収納量の割に薄く作ることが可能になりました。

基本的な仕様は、スーパークラシックの『薄い財布』と同様、カードケースとコインケースを重ならないように上下に配して、コインケースを細長い形状にするものです。

しかし大きく違うのは、カードケースが外側、コインケースが折り曲げる側に配置されていること。そしてカードの右下端が空いていることで、カードの出し入れがスムーズになると同時に、ここが財布を閉じた時の留め具にもなります。実はこれ、慣れれば片手でも開閉できてとても便利。素晴らしいアイデアだと思います。

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