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ディズニーで進む「デジタル音痴の排除」の真因 資本主義の加速で「機械が人を選ぶ」時代に?

東洋経済オンライン / 2024年12月4日 8時40分

こうした意味でも、ディズニーは「ITをそこそこ使える人」を客として選択していて、そうでない人、いわゆる「IT弱者」に対する「静かな排除」が起こっている。

ちなみに、キャッシュレス決済を使う層は、所得が高いことはアンケートでも明らかになっている(「年収で現金利用とキャッシュレス決済に差 年収が低いほど現金派が増加」/ITmedia ビジネスオンライン、2024年5月29日)。

したがって、結局はこうした「IT弱者排除」もまた、遠巻きに富裕層をその顧客層として選択していることにつながるだろう。

オリエンタルランドは、こうしたさまざまな政策で来場客をコントロールしようとしているようだ。

しかし、これがどうも人々にはよく受け入れられていないのが今の現実なのだ。

ただ、こうした「静かな排除」の傾向は、なにもディズニーランドだけで起こっているわけではない。むしろ、全都市的に発生しているといってよい。

最近東京に爆増する「再開発」されて新しく誕生した高層ビルの多くが、富裕層やインバウンドに向けられており、似たような形をしていることを私は東洋経済オンラインに寄稿した記事「東京で急増『貧しい日本人を排除するビル』の矛盾」で指摘した。

高層階にはラグジュアリーホテル、中層階はオフィス、低層階にはお高めのレストラン。庶民がふらりと入るには、立ち入れなかったり使えない場所が多すぎる。

むろん、こうした流れは上昇の一途を辿る地価を効率よく賄うためにはある程度必要な流れだろう。ただ、結果としてこうしたビルばかりが増えることにより、ある所得以下の人々が街から「排除」されているようにも思えるのだ。

階層が固定化し、都市が変化し、また階層が固定化

こうした流れの底には、「一億総中流」の幻想が崩れ、それぞれの階層が固定化される現代にあって、その階層に対応した都市や商業施設が誕生していることがあるだろう。

簡単にいえば、たくさんの人をその街や施設に入れて「量」を取る方向から、それぞれの階層の人を満足させる「質」を取る方向へと都市全体が進んでいる。都市機能の「分化」が進んでいるのだ。

都市がこのようになっているのだから、一企業であるオリエンタルランドがそうなっていくのも当然の流れではある。

資本主義が加速すれば、消費の在り方も変わるし、消費者の受け入れ方も変わるということだ。

デジタル技術は平等を作るのではなく、「人々の選別」を行う

さらに「デジタル技術による客層の選択」もしばしば見られる現象だ。

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