2025年に日経平均株価は最高値を突破しそうだ トランプ次期政権は日本株にマイナスではない
東洋経済オンライン / 2024年12月7日 14時0分
有名な相場格言「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」(アメリカの著名投資家ジョン・テンプルトン)に従えば、現在の日本株は「楽観の中で成熟」の状態にあると筆者は判断している。
新型コロナウイルス禍の終了に伴う世界経済の回復局面はとうの昔に終焉しており、「アフターコロナ」などといった火を見るよりも明らかな景気加速要因には乏しい。
だが、一方でこれといった大きなリスク要因も存在しない。世界経済を概観すると、最重要のアメリカは、夏場に警戒された景気後退懸念が大きく和らいでいるとはいえ、金融引き締め的な状況が長引く中で失業率が急速に改善することも考えづらい。これらを踏まえると、成長率が加速度的に高まっていく姿は期待しにくい。
日本株上昇の「真の牽引役」に注目
また中国経済は、アメリカとの経済的分断が深刻化する中、不動産市場の「治療」に時間を要すことが予想される。これはかつての日本と同様、製造業など他の産業を蝕んでいくことが懸念される。
では肝心の日本はどうだろうか。賃上げの継続などによって内需は底堅さを維持するとみられる反面、半導体市況に目を向けると増勢が鈍化する兆候もあり、これといった企業業績の牽引役は見当たらない。
それでも筆者は日本株(日経平均株価)が今後、7月11日につけた4万2224円を更新すると予想している。それはインフレの存在が大きい。また後述するようにアメリカのトランプ次期政権の舵取りの下、堅調な推移が予想される同国株も一定の追い風となろう。
投資の指南書などでは必ずと言ってもよいほど「株式はインフレに強い」と記述されている。1990年代半ばから2021年ころまで30年近くインフレが発生しなかった日本では、インフレヘッジとしての株式保有はあくまで「教科書の中の理屈」であり、現実離れした教科書的な教えにすぎなかった。しかしながら、ここ数年、日本がインフレを経験してようやく「現実」へと昇華した感がある。
GDPの実質と名目の乖離が意味するもの
インフレについては、消費者物価上昇率が日銀の物価目標である2%を大幅に超過した状態にあることもさることながら、GDP(国内総生産)が象徴的な動きとなっている。11月15日に発表された日本の2024年7~9月期GDPに目を向けると、物価変動の影響を除いた実質成長率は前期比年率プラス0.9%と、2四半期連続でプラスだった。
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