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2025年に日経平均株価は最高値を突破しそうだ トランプ次期政権は日本株にマイナスではない

東洋経済オンライン / 2024年12月7日 14時0分

エネルギー価格低下を起点にインフレ率低下を狙う算段であり、これは前回の大統領任期中も同様であった。実際、2017~2021年はアメリカの原油生産量が飛躍的に増加するなかで、原油価格は任期前半に上昇した後、任期後半にかけて下落している(コロナ初期の原油価格の急落は例外として取り扱う)。この点は、あまり意識されていないように筆者は感じるが、日本株(日本経済)にとって重要な視点であろう。

またトランプ氏は低金利を好むドル安論者であり、この点はトランプトレードの逆を行く。大統領選を通過した現在、今後予想される変化として筆者が特に注目しているのはトランプ氏がFED(アメリカ連邦準備制度)の金融政策とどこまで距離を詰めるかである。今回の選挙期間中においてトランプ氏がFEDに利下げを迫る場面はさほど多くなかった。

それは、利下げが(民主党の弱点であった)インフレの沈静化を助長してしまうほか、株高となり民主党の追い風になってしまうからであろう。トランプ氏がFEDへの要求を戦略的に自重していた面が大きいと筆者は考える。この見方が正しければ、大統領就任後はFEDに利下げを迫る可能性が高い。

トランプ氏がFEDに罵声を浴びせると、金融市場では短期ゾーンを中心に金利低下・ドル安の反応がみられるのではないか。こうしたアメリカ金利低下、ドル安・円高はアメリカ株に追い風となる反面、製造業が約6割を占める日本株(TOPIX、日経平均株価)の頭を抑える公算が大きい。

そしてアメリカ株高にも注意が必要であろう。筆者が注目するのは実質金利とPER(株価収益率)の乖離だ。相場格言というほどではないが、「債券と株式が食い違った場合、間違っているのは株式」とよく言われており、それを前提にすると、現在の高PERには違和感を禁じ得ない。

日本株に備わる「景気循環とは無関係の増益要素」

FEDの金融引き締めに伴い実質金利が上昇するのをよそに、PERが上昇してきた背景として最も重要なのは、利上げ期間中ですら、将来の利下げが強く意識されてきたことであろう。FEDが示すドットチャートは見通し期間の後半にかけて利下げが示唆される形状であったので、株式市場で利下げが前提にされるのは、ある意味で合理的であったと言える。

例えばFF金利(誘導目標レンジ上限)が5.00%に引き上げられた、2023年3月FOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)で更新されたドットチャートは2023年末の中央値が5.25%、2024年末が4.375%、2025年末が3.25%と右肩下がりであった。また、これとは別の視点で、昨年ごろからトランプ氏の再選が意識されていた面もあるだろう。

法人税率の引き下げなど、EPS(1株当り純利益)拡大に直結しうる政策を掲げる同氏が大統領選で勝利するなら株高を予想する投資家は多かった。それを見込んで2%の実質金利と22倍程度の予想PERが共存してきた形だが、今後、FEDの利下げ観測が一段と後退したり、トランプ次期政権の舵取りが景気拡大につながらないとの疑念が生じたりすれば、高PERは許容されなくなるのではないか。

このように2025年の日本株を取り巻く環境は必ずしも薔薇色ではない。ただし、引き続きインフレの追い風が吹くなかで、日本企業は「資本効率の改善」という景気循環に直接関係のない増益要素もある。もしアメリカ株が大崩れしなければ、2025年の日経平均の最高値更新は可能だろう。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

藤代 宏一:第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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