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年収650万円を「東京都」に奪われた男性の言い分 何を答えても否定ありきのパワハラ面接だった

東洋経済オンライン / 2024年12月12日 12時0分

「SCが先生と相談のうえ授業中の子どもに声をかけることは珍しいことではありません。面接官がSCの仕事を理解していない、教育の現場を知らないということがわかりました。最初から落とすことが前提という印象を受けました」

非正規公務員の雇い止め問題

東京都のSCはもともと非常勤特別職だったが、地方公務員法の改正に伴い、2020年度から任期1年以内の会計年度任用職員へと移行した。東京都教育委員会は会計年度任用職員の更新回数の上限を4回と規定。2023年度、多くのSCがこれに達したことから、面接などの公募試験を受けなければならなくなった。その結果、1096人中250人が「不合格」や補欠にあたる「補充任用」となった。SCらでつくる労働組合「心理職ユニオン」によると「これだけ大規模な非正規公務員の雇い止めは全国でも初めてではないか」という。

職場は都内の公立小中学校や高校で、1人が1~3校を担当し、勤務日数は1校につき年間38日。対応する問題はいじめや不登校だけでなく、発達障害やヤングケアラー、宗教2世など多岐にわたる。

このSC大量雇い止め問題について、私は今年3月、全3回でレポートした。このとき取材に応じてくれたのは全員女性だったが、トモアキさんと同じく勤続10年以上、学校側からの評価も高いベテランSCが多かった。そして彼女たちもまたこの面接への怒りをあらわにしていた。

「『SCって共感と傾聴以外に何ができるんですか?』と鼻で笑われた」「答えている最中に、手のひらを向けられ『もう結構です』『簡潔に!』『巻きで話して』と強い口調で遮られた」「面接官たちはメモも取らず、退室した途端、笑い声が聞こえてきた」など。

都教委によると、面接を担当したのは学校勤務の経験のある統括指導主事などで、SCの経験はないという。トモアキさんたちの話を聞く限り、一部の面接官にはSCの経験だけでなく、長年、学校現場を支えてきた心理職への敬意もなかったようだ。

SCに限らず、非正規公務員の雇い止め問題を取材していると、その理由について自治体側はたいてい「市民の方々に広く仕事の機会を提供するため」「応募機会を公平に与えるため」と答える。定型文でもあるのか、と思うほど同じ答えが返ってくる。今回、都教委に話を聞いたときも案の定、「雇用機会の公平性確保のため。SCをやりたいという人たちにできるだけ多くの挑戦の機会を持ってもらうためです」と言われた。

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