年収650万円を「東京都」に奪われた男性の言い分 何を答えても否定ありきのパワハラ面接だった
東洋経済オンライン / 2024年12月12日 12時0分
しかし、「仕事の機会」を奪われた側の生活はどうなるのか。公務職場の非正規化は進んでおり、総務省によると2020年、地方公務員全体の29%が非正規だという。1年を通して恒常的に存在する業務を担っており、彼らがいなければ公共サービスは維持できない。同時にその収入で生計を立てている人も増えている。自治体自らが生活をかけた“椅子取りゲーム”を強いるかのような光景は、私には異様にしかみえない。
「生活保護水準以下の暮らし」に
トモアキさんのことに話を戻そう。トモアキさんは都内の有名私大の大学院を修了。大学で10年ほど専任講師などを務めた後、塾講師や都内の自治体のSCや専門相談員を経て、都のSCとして働き始めた。
年収は一見すると悪くなかったが、勤務時間の関係で厚生年金に入ることができなかった。このため、国民健康保険料や国民年金保険料などを差し引くと手取り額は450万円ほど。加えて身分も不安定なので、「女性と付き合っても、最後は経済的なことが原因でいまだに独り身です」。
一方で都のSCに就く前に勤務していた学校では、相談ケースの多さから、教師から「行列ができる相談所」と評されたこともあった。都のSCとしても、校長や教頭からの評価は極めて良好だった。退職の際は、教師や子どもたちから「東京都は見る目がない」「ぜひまた一緒に仕事をしたい」「先生がいなくなると困る」など多くの言葉をかけられたという。
しかし、雇い止め後、トモアキさんの暮らしは激変した。雇用保険にも入れなかったので失業給付もゼロ。あわただしく就職活動をした結果、4月からは別の自治体のSCや知能検査員、複数の大学の非常勤講師などの仕事を掛け持ちしているが、年収は半分以下となった。家賃8万円と私的年金「iDeCo(イデコ)」の積立金約4万円を捻出するのが精いっぱい。最近は数駅分を歩いて移動して電車代を節約しているという。
「前の年の所得に応じて算出される国民健康保険の負担が重いです。今は生活保護水準以下の暮らしなのではないでしょうか。不合格の烙印を押され、すべてに自信を失ったような気持ちにもなりました」と打ち明ける。
やりがいを語れることがうらやましい
心身ともに余裕がない中で、なぜ裁判の原告に加わろうと思ったのか。そう尋ねると、トモアキさんは迷うことなく答えた。
「何も行動を起こさなければ、(都の)やりたい放題が許されることになってしまうからですよ。私たちは生きていかなければなりません。機械の部品のような扱いは困ります」
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