「人づきあい」長つづきのコツは"放牧スタイル" 「過去の関係性」に執着してもうまくいかない
東洋経済オンライン / 2024年12月13日 16時0分
「とはいっても、これまで大事にしてきた関係性を捨てるのはちょっと……」と、困惑した人もいるかもしれません。その気持ちはもっともです。
楽しい想い出がいっぱいの恋人、長く苦楽を共にしてきた仲間、何度もアドバイスをもらってお世話になった恩人……、そんな関係を、いきなり切り捨てるのはちょっと不義理なようにも思えますよね。
でも、私が言いたいのは「古い関係は捨てなさい!」ということではありません。ただ「ちょっと手放してみたらどうですか?」と提案したいんです。
たとえば、片付けのアドバイスとして「いらないモノは捨てましょう。捨てなければ、良いものが手に入ることもありません」とか、恋愛のアドバイスで「古い縁を捨てないと、新しいご縁はありませんよ」といった内容を聞いたことがあると思います。
こんなふうに「捨てる」と言うと、2度と戻ってこない気がしますよね。決して取り返しのつかない選択みたいに思える。だから、「捨てよう」と思うとかなりの勇気がいるんです。「やっぱり捨てたくない!」と執着心が芽生えることにもつながりやすい。
一方、「手放す」だけだったら、もっと気楽に考えられると思いませんか? 一瞬手を離すのに、大げさな覚悟なんていりません。だって、自分にとって必要だと思ったら、また摑めばいいだけだから。
私は新卒で入った会社の同期と今でも付き合いがあるのですが、これまでの約20年間で、グループを抜けていった人もいれば、また戻ってきた人もいます。私自身も、集まりに呼ばれない時期もありました。
「参加しなくてもいいや」と思ったこともあるし、逆に自分からみんなに声をかけたこともあります。
そんなふうに、手をつないだり離したりをくり返すのは、ごく普通のこと。私は、こんな人づきあいのスタンスを「放牧スタイル」と呼んでいます。自分と関わる人を、首輪で縛りつけたり狭い小屋に閉じ込めたりしておくのではなく、自然と地つづきの、広い牧場のなかで「放し飼い」しているイメージです。
50代の今、30代の頃より「体も心も」とてもラク
近くに来れば話をするし、向こうに行きたいなら行ってもいい。見えないほど遠くに行ったと思ったら、またタイミングが合っていつの間にか近くにいることもある。牧畜犬みたいなだれかが、勝手に近くまで連れ戻してくることもあるかもしれません。
みんながそれぞれに自立して、ほのぼの「自分の」人生を自由に謳歌する。長い人生のなかで、「人生のステージ」が合うタイミングが来たらつながったり、合わなくなれば離れたり。そんなふうに付かず離れずな関係性が、健全で心地よく、理想の人間関係だと思っているのです。
歳を重ねれば重ねるほど、人との関わりが増え、不調も増え、スタイルもダウンし、気力もなくなるものです。ですが、私は50代の今、30代の頃よりとても体も心もラクですし、若い頃に戻りたい、とも思いません。「今」の自分が一番いい。
あんなに自分に自信がなく、他者との比較でしか自分のポジションを認識することのできなかった私が、自分で体を整える術=整体ライフスタイルと出会ったおかげで、変わることができました。
ぜひあなたにも、それを体験してほしい。変わっていく自分を見逃さないようにして、自分の軸をつくる。そうすれば、あらゆる「しんどさ」から解放され、あなたの人生は、すっきり軽やかに、こうありたいというものになっていく。いつも新しいことを楽しめる毎日がやってくるはずです。
そのためには、いつだって「まず体から」。このことを忘れないでいてくださいね。
いちい 葉子:整体指導士、からだデザイン研究所主宰
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