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トランプ政権再登場で気をもむフィリピンの本音 南シナ海領有権や米比同盟は鉄壁のままか

東洋経済オンライン / 2024年12月14日 9時0分

さらに日本が「同志国」に軍事装備品などを無償提供する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の枠組みでフィリピンに2年連続で沿岸監視レーダーを贈与することを決定した。

2年連続の供与はフィリピンだけであり、それ以降も継続する方針を示している。同志国のなかでも完全な特別扱いである。

南シナ海では、フィリピンの沿岸警備隊(PCG)の船舶が中国海警局などの艦船から放水されたり、体当たりされたりといった嫌がらせを受ける事態が常態化しているが、被害艦船のほとんどは日本のODAで供与されたものだ。

日本政府はこの10年間で44メートル級の警備艇10隻と97メートル級の警備船2隻を供与し、さらに97メートル級5隻の建造を急いでいる。PCGの稼働船のほとんどは日本からのもので、訓練やメンテナンスも日本に依存している。つまり日本丸抱えの状態で中国と対峙しているのだ。

こうした状況のなかで訪れる「またトラ」。台湾有事の際の第2次トランプ政権の出方を探る意味でも、中国は南シナ海での挑発を続けるだろう。

バイデン政権下で謳われた日米比の「3国(準)同盟」は維持されるのか。南シナ海の競り合いで死者が出るなど状況が緊迫した時にトランプ政権はどう対応するのか。

トランプ氏がフィリピンとの同盟を軽んじた場合、日本はどのようにコミットを続けるのか。先行きは限りなく不透明だ。

柴田 直治:ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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