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ドゥカティ「ムルティストラーダV4S」王者の貫禄 快適な冒険を求める大人のアドベンチャーバイク

東洋経済オンライン / 2024年12月15日 14時0分

このころは4輪の電子制御テクノロジーが2輪にも転用されはじめた時期で、それまでは不可能だったエンジン特性やサスペンション設定をスイッチひとつで自在に切り替えられる夢のようなシステムが2輪業界の先陣を切ってムルティストラーダに搭載されていた。2021年にはより強力なV4エンジンを搭載した完全新設計モデルへと進化。そして今回2025年モデルでは新たな機能を搭載した新型へとさらなるアップグレードが図られている。

「V4グランツーリスモ」と名付けられた水冷90度V型4気筒1158ccエンジンはクラス最強レベルの最高出力170psは踏襲しつつ改良型のエンジン休止システムを投入。従来のアイドリング時だけでなく、低速で走行時にも前側の2気筒のみを稼働させることで低燃費やエンジンの熱対策を向上させている。

ちなみにドゥカティのスーパースポーツ系に搭載されているV4エンジンとは排気量や出力特性も異なる専用設計で、バルブ駆動方式も伝統的なデスモドロミックではなく耐久性に優れるスプリング方式とすることで6万kmのメンテナンスサイクルを実現するなど、アドベンチャーバイク向きの仕様に最適化されている。

車体も見直され、後輪を支えるスイングアームの取り付け位置を変更することで加速時やタンデム走行でのトラクション性能を高めてハンドリングを向上。電子制御もさらに進化し、停止直前に車高を自動的に下げる機能のほか、新たに「ウェット」モードを追加し雨天走行での安全を確保。また、荒れた路面で前輪が受けた衝撃を解析してリアサスペンションの動きを瞬時に調整する「バンプ検知機能」を追加した。

さらに前走車を自動追尾するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やバックミラーの死角に入ってきた車両を検知するBSD(ブラインド・スポット・ディテクション)に加え、新たに前方衝突警告機能も搭載されるなど、より安全で快適な方向へとスタンスを広げている。

試乗インプレッション:足着きの良さに驚く

さて今回の試乗はアドリア海に臨むイタリア東部の街で行われた。遠目には従来モデルと変わらないが、よく見るとフロントカウルのデザインが洗練されホイールやサイレンサーの形状も新しくなっている。跨って最初に気付くのはシートの低さで、両足ともべったり地面に着く。

新型には自動車高低下機能(オートマチック・ロワリング・デバイス)が搭載され、速度が10km/h以下になるとリアサスペンションが調整されてシート高が約30㎜下がる仕組みになっている。オフロードも走るアドベンチャーバイクは走破性を高めるためサスペンションも長く、必然的にシートも高くて当たり前と思っていたが、これは嬉しい誤算である。たった数センチではあるが、プリロード(バネの初期荷重)を抜いて下げる仕組みなので数値以上に沈み込む感じなのだ。

ドゥカティらしい扱いやすさは健在

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