あなたの街のイトーヨーカドーが閉店した必然 総合スーパーの非食品売り場にダイソーなど進出
東洋経済オンライン / 2024年12月15日 9時30分
幹線道路沿いに広い駐車場を持ち、カートで買い回りしやすく、物販以外にシネコンや子供の遊び場も備えた大型ショッピングモールに行くほうが、土日を楽しく過ごせる。これは、皆さんも体感していることであろう。
老朽化店舗にちょっと手を入れただけでは、もう勝てない、というのが現状だ。人口減少の見込みが少ない首都圏で閉店した店舗のほうが、引き取り手が決まらないのは、「古い総合スーパータイプの店は誰がやってもうまくいかない」と業界の大多数が思っているからでもある。
首都圏駅前の一等地を押さえていたヨーカ堂
ただ、そんな環境変化に対して、ヨーカ堂はなぜ今まで手をこまねいていたのか、という疑問が残るだろう。これは、東京の老舗スーパーであるヨーカ堂が、首都圏駅前の一等地を数多く押さえていた、ということに起因している、と考えられる。
地方ではモータリゼーションの浸透は速く、2000年代には駅前の古いタイプの総合スーパーはかなり淘汰されている。バブル崩壊後にきた消費低迷と金融危機によって、多くの総合スーパー企業が経営破綻した時期があったが、衰退した地方駅前に店舗を多く配置していた企業から順に経営が成り立たなくなった。
その際たるものがダイエーだ。先行して全国の駅前、中心市街地を押さえて全国制覇したがために、そのほとんどが不採算店となり、転換が間に合わなかったのである。そして、地方出身でモータリゼーションを前提として、専門店チェーンと共存するモールを展開したイオンがスーパーの覇者となったのだ。
モータリゼーションの影響が及びにくかった
その時代には、ヨーカ堂はラッキーな存在だった。早くからヨーカ堂が押さえていた、都内、神奈川を中心とした首都圏の一等地には、モータリゼーションの環境変化は長らく影響しなかったからだ。
しかし、郊外からの買物動線の変化が徐々に進行して、老朽化したヨーカ堂の郊外駅前店舗にも及んだ今、ついに撤退せざるをえなくなった、というのが客観的な事実といえる。
ヨーカ堂は、ほぼ最後の郊外駅前立地の総合スーパーだったのであり、そしてまだ、都内中心に90店舗以上が生き残っているのだから、逆に驚くほどだ。ただ、一連の店舗スクラップにより、低採算店はほぼ一掃されるので、ヨーカ堂を中心としたスーパーストア事業の収益性は一気に回復することになるだろう。
この改善効果が続くうちに、首都圏特化の食品スーパーとしての新たな形がつくれるのかが、今後の事業継続性を決めることになる。
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