あなたの街のイトーヨーカドーが閉店した必然 総合スーパーの非食品売り場にダイソーなど進出
東洋経済オンライン / 2024年12月15日 9時30分
ヨーカ堂について見てきたが、他にも残っている総合スーパータイプの店舗も似たような状況にある。ヨーカ堂と同様、東京発祥の西友も紆余曲折を経て、首都圏に残った総合スーパーの非食品売場をテナント化して、「食品+生活必需品」のスーパーとして生き残ろうとしている。
郊外型モールで生き残りの道を披いたイオンでも、M&Aした同業他社由来の都市型総合スーパーを持っており、その活性化を目指して「そよら」というショッピングモールへのリニューアルを行っている。
総合スーパーの非食品売場が縮小し、テナント化するというのは止められない流れだが、その場所を代わりに埋めることができる企業にとっては、都市部への出店チャンスが拡がるということでもある。この場所を取りに行っている代表的な企業が、ホームセンター最大手カインズと100円ショップ最大手ダイソー(大創産業)である。
総合スーパーの非食品売場に進出するカインズ
これはカインズの最近数年分の新規出店をリストにしたものだ。カインズと言えば、地方、郊外に大型店舗を展開することで成長してきたホームセンターなのだが、近頃は総合スーパーをテナント化した商業施設への出店が増えていることがわかるだろう。
総合スーパーの非食品売場に替わって、広くスペースを埋めてくれるカインズは、生活必需品雑貨などの充実度が高く、来店客のニーズに応える頼もしい存在だ。カインズにとっても都市部への出店機会として悪くない話なのである。
ダイソーは、「脱100円」を進める中で、品揃えが充実し大型化したDAISOに加えて、高価格帯業態Standard Products、THREEPPY、を開発しており、3業態、2業態がセットで出店するようになっている。
ダイソーが重宝される事情
次の表は最近2カ月ほどのダイソーの商業施設出店を抽出したものだが、総合スーパ―系の施設にはセットで出店していることがわかるだろう。これも、かなり集客力もあるし、広いスペースを埋めてくれるテナントとして、総合スーパーにとってはありがたい存在だ。
ユニーの上層階がドン・キホーテになり、ヨーカ堂のアパレル売場がアダストリア(FOUND GOOD)になるのも、同じような流れだ。ニトリデコホーム、ユニクロ+GUのセット出店も増えている。
ヨーカ堂の跡地を多く引き受けたことで、「ロピアの急拡大!」として注目が集まったが、総合スーパーの食品特化という大きな流れは、こうした専門店チェーンに、ちょっとした成長フロンティアを生み出している、ということも注目に値するのではないか。
中井 彰人:流通アナリスト
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