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禅が教える「ずっと不安が減らない人」の根本原因 転がせば転がすほど、悩みは重く大きくなる

東洋経済オンライン / 2024年12月16日 10時0分

では、どうしたら不安を転がさないでいられるのでしょう。

それは「今、この瞬間」を生きることに尽きます。

不安の出どころについて考えてみてください。不安とは、今よりも少し先の未来を思い煩うから生じるもの。現実には何も困ったことは起きていないのに、「ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう」と余計な気を回すから不安になるのです。

人間の頭は「今、この瞬間」のことだけを考えて生きるには、少し賢すぎるのだと思います。しかし、そこで生じる不安は、言うなれば、妄想、思い込み、取り越し苦労の類で、実体がありません。

私は過去に『心配事の9割は起こらない』というタイトルの本を執筆しましたが、人生とは思いのほか「なんとかなる、どうにかなる」もの。そうした不安が的中することはほとんどないのです。

それならば、「今、この瞬間」をひたすらに生きることです。何が起こるかわからない未来のことは横において、今この瞬間、自分がいるその場所で、できることを精一杯やるのです。

「残り1割の心配事が的中したらどうするんだ」ーーそう言いたくなる方もいるかもしれませんが、大丈夫です。いざその時がきたら「今、この瞬間」に集中できるに決まっているからです。

例えば、家が火事になった。燃え上がる炎を前にしたら、必死で逃げるか、消火活動をするか、いずれにしても「今、この瞬間」のことで頭が一杯になり、不安など感じる暇はありません。

そして、そんなときにこそ人間はものすごい力を発揮するもの。火事場の馬鹿力とは、「今、この瞬間」を全力で生きる人間の「なんとかする」力のことをいうのでしょう。

では、どうしたら、不安を転がさずに生きることができるのか。どうしたら、「今、この瞬間」を生きられるのか。
 そのための知恵が、禅にはあります。

考えるより「動く」のが先

例えば、禅に伝わる「丹田呼吸」はいい訓練になります。「ふう〜〜〜〜」と息を長く吐いて、それからゆっくり息を吸い、息をおへその下まで落としていきます。

心が乱れているときは、呼吸も乱れているもの。しかし反対に、呼吸を整えることで、心が整い、不安を遠ざけることができます。

「とにかく今すぐ動きなさい、今すぐ動けば不安は消える」という教えもあります。これを「禅即行動」といいます。

以前、私のお寺に元引きこもりの青年が掃除にきていたことがあります。一度は就職したものの人間関係に悩んで退職。それから部屋に閉じこもって考え事をしているうちに、身動きがとれなくなってしまったそうです。

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