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サントリー次期社長の「プリンス」に託された課題 鳥井氏を「ノブ」と呼ぶ新浪氏と二人三脚で挑む

東洋経済オンライン / 2024年12月16日 7時50分

鳥井信宏氏(右)は2016年からサントリーホールディングス(HD)の副社長を、2022年からはHD傘下で国内外で酒類事業などを担うサントリー株式会社の社長を務めてきた(撮影:梅谷秀司)

サントリーの“プリンス”が、ついに玉座に座る。

【データを見る】現在の新浪社長の時代はサントリーにとって「海外事業拡大の10年」

国内酒類大手のサントリーホールディングス(HD)で10年ぶりとなる社長交代が決まった。創業家出身で「プリンス」とも呼ばれる鳥井信宏副社長(58)が2025年3月25日付で社長へ昇格する。

新浪剛史社長(65)は代表権を持ったまま会長に就く。創業家の佐治信忠会長(79)との2人会長体制になる。佐治氏は取締役会議長を兼務しガバナンスの強化、新浪氏は実務執行と担当をすみ分ける。佐治氏にとって鳥井氏は従兄の子供だ。

鳥井氏と新浪氏は管掌分野を設けずに「二人三脚」で海外・国内事業を担う。12月12日の記者会見で鳥井氏は、「いろいろと考えて縮こまるのではなく、思い切ってやんちゃに進めていく。自分が最も楽しんで働きたい」と意気込みを述べた。

ノブに任せていいと思った

「行動が早くて、着実に経験と実績を積み上げてきたノブ(信宏氏)を見て、社長はもう彼に任せてもいいなと思った」

記者会見で「新浪社長」と呼ぶ信宏氏を新浪氏は愛称で呼び、晴れやかな表情を見せた。

新浪氏が社長に就任した際、佐治氏から任されたのは鳥井氏を次期社長として育て上げることだった。育成は10年でいったん区切りがついた。

新浪氏が評価する行動力や思い切りのよさは、これまでの成功と失敗の経験から培ったものだろう。

1966年生まれの鳥井氏は、創業者のひ孫で父は3代目社長。1991年に日本興業銀行(現みずほ銀行)へ入行し、社会人のキャリアをスタートさせた。社会人としての基礎は興銀時代に叩き込まれたという。

サントリーに入社したのは1997年で、最初の10年は酒類の営業を担当した。現場で顧客の信頼を得ながら、泥臭く1ケースずつ売り上げを積み上げていくことを学んだ。その後、営業統括本部部長やM&Aを担う戦略開発本部長など多様なポジションを経験した。

鳥井氏の印象に強く残っているのは、プレミアム(高価格帯の)ビール「ザ・プレミアム・モルツ」(プレモル)の戦略部長時代だ。2007年に販売数量1000万ケースを達成すべく奔走したが、結果は951万ケースに終わり、かなり苦い経験となった。

国内外で飲料事業を展開するサントリー食品インターナショナルが2011年に発足した際、同社の初代社長に就任。2013年にグループで初めて上場し、上場企業とはなんたるかを知る新浪氏には相談しやすかったという。

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