尹大統領「弾劾案可決」でこれから何が起こるのか 次期大統領候補と言われる李代表も実はピンチ
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 14時15分
「わあー」。弾劾訴追案が可決されると、韓国の国会議事堂があるソウル・汝矣島一帯には歓喜する声が束となって鳴り響いた。その場で跳びはねて喜びを表す人や、K-POPを歌い始める人、「お疲れさまでした」という声も飛び交う中、傍らにいた大学生の女性(22)は友人らにこう話しかけていた。「今からが始まり。憲法裁判所で罷免の判決が出るまで声をあげないと」。
弾劾訴追を可決へと決定づけたもの
12月3日の「非常戒厳令」宣布から12日、尹錫悦大統領への弾劾訴追案が14日可決された。韓国憲政史上、大統領として3人目の弾劾対象者となった。7日には一度否決された弾劾訴追を可決へと決定づけたのは12日、尹大統領が国民に向けて出した「談話」だった。
与党「国民の力」韓東勲代表が尹大統領は早期退陣に関心がないことを確認したという報道が流れたわずか後のことだった。29分間に及んだこの談話で、尹大統領は戒厳令を宣布した目的を、「国民に巨大野党の反国家的悪事を知らせ、これを止めるよう警告すること」であり、「戒厳令は大統領としての統治行為」と強弁した。
野党の反国家的行為として、「大統領選挙の結果に承服せず、就任後から178回に及ぶ(野党勢力主導による)退陣・弾劾デモを行った」「22回に及ぶ大統領が任命した長官(大臣)などへの弾劾乱発」「2025年度予算案を野党単独で減額予算処理し国政運営にストップをかけた」「2024年4月の総選挙での不正操作疑惑」などを挙げている。
宣布を決意したのは、最大野党「共に民主党」の李在明代表や、同党議員の疑惑を捜査中のソウル中央地裁検察庁長や監査院長を野党が弾劾しようとしたことで、「これ以上見守るだけではだめだと判断した」と話した。
確かに野党の攻勢は執拗だった。尹大統領の就任3カ月目から進歩系の市民団体は退陣、弾劾デモをほぼ毎週末続けてきた。国会では、任命された政公職者などを次々と弾劾で追い込み、2025年度の予算は韓国憲政史上初めて野党単独による4兆1000億ウォン(約4415億円)の減額処理となった。
こうした一方的な攻勢が可能だった背景には、”スーパー野党”の存在がある。今年4月に行われた総選挙では、野党6党合わせて300議席中192議席を獲得している。
韓国人が談話でおかしいと思ったポイント
ただ、韓国の人々が談話に首をかしげたのは、「2024年4月の総選挙での不正操作疑惑」のくだりあたりからだ。尹大統領は戒厳令を宣布した後、戒厳軍を中央選挙管理委員会へと向かわせた。総選挙が不正操作されたと考え、データの複写が目的だったといわれている。
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