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「平気で人を害する人」が感じている相手との距離 4つの「心理的距離」が他人への見方を変える

東洋経済オンライン / 2024年12月17日 11時0分

よく知らない人といった心理的距離が遠い相手ならば、人は気安くその人を害したり、虐待したりできます(画像:Luce/PIXTA)

横暴に振る舞う上司、不正を繰り返す政治家、市民を抑圧する独裁者。この世界は腐敗した権力者で溢れている。

では、なぜ権力は腐敗するのだろうか。それは、悪人が権力に引き寄せられるからなのか。権力をもつと人は堕落してしまうのだろうか。あるいは、私たちは悪人に権力を与えがちなのだろうか。

今回、進化論や人類学、心理学など、さまざまな角度から権力の本質に迫る『なぜ悪人が上に立つのか:人間社会の不都合な権力構造』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

私たちの社会生活はタマネギのようなもの

人間関係は、「心理的距離」と呼ばれる概念によって仲介されている。私たちの社会生活は、いわばタマネギのようなものだ。

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中心には、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹といった、直近の家族がいる。そのすぐ外側の層にはその他の親族がいて、次が友人たちだろうか。そして、その外に職場の人々などが続く。

こうした層にいる人のすべて(いや、職場の人の場合には、それぞれ人にもよる)が、その身に何かあったとき、タマネギと同じであなたを泣かせることができる。

だが、次々に層を重ねていくうちに、ついには皮に行き着く。捨ててしまえる部分だ。その層の人を失っても、何とも思わない。

その外側は、もうタマネギの一部ですらない。その層の人は、あなたの頭に浮かびさえしない。

当然ながら、私たちのタマネギはそれぞれ違う。多感な人は、タマネギが大きいかもしれない。すぐに皮にたどり着き、ごく親密な個人的関係への関心でしか動かされない人もいる。

だが、特定の層が私たちにとって大切かどうかは、決まっているわけではない。時が過ぎるうちに変わることもある。

道徳哲学者のピーター・シンガーが書いているように、人間と人間性の物語は、「拡大する輪」だ。赤ん坊のとき、私たちの道徳的宇宙は小さく、親だけに限られる。あるいはことによると、嫉妬している兄や姉がそこに加わる。だが、私たちは成長するにつれ、大切に思う人がどんどん増えていく。

私たちの種の歴史も、拡大する道徳的な輪を特徴としてきた、とシンガーは主張する。かつて人間は、自分のすぐ周りの人々のことしか気にしなかった。今や私たちは、会ったこともなければ知ることもないだろう人々が地球の反対側で津波やテロ攻撃に見舞われたというニュースを聞いて、強く心を動かされうる。

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