「M-1エリート」時代の幕開け?新たな伝説に期待 20回目のM-1 令和ロマンが史上初の2連覇に挑む
東洋経済オンライン / 2024年12月18日 13時0分
21世紀の幕開けとともに始まった『M-1グランプリ』(以下、M-1)も、今年で節目となる20回目。漫才コンテストはほかにもあるが、M-1は、人気、話題性、影響力などの面で群を抜くコンテンツになった感がある。いまや年末の風物詩と言えるM-1がここまで成長した理由はいったい何だったのか? そして今後は? この機会に探ってみたい。
【画像】松本人志が不在でどうなる? 大きな注目が集まっていた今年の「審査員」の顔ぶれ
M-1予選で話題を独占した「完コピ」漫才
M-1熱は、近年さらに高まっている。そのひとつの表れが予選への注目度の高さだ。各組のネタが動画で配信され、それに対してSNSが素早く反応する。そんな光景が見慣れたものになった。
そうしたなか、今年話題を独占し、SNSでトレンドにもなった出来事があった。準々決勝でのラパルフェのネタである。
登場したラパルフェは、なんの前置きもなく、2019年のM-1決勝でニューヨークが披露したネタを物まねで再現。会場の爆笑をさらった。それに加え、そのとき松本人志から厳しい評価を受け、メンバーの屋敷裕政が「最悪や!」と叫んだ有名な場面も再現。これまた会場からは爆笑が起こっていた。
もともとラパルフェは、物まねを得意とするコンビ。実際、ニューヨークの「完コピ」漫才の後は、おなじみの阿部寛や堺雅人の物まねでネタを締めていた。
しかし、有名人の物まねをするのと、同じM-1の舞台で他のコンビがやったネタを再現するのとではやはり意味が違う。このときラパルフェは、ニューヨークの「完コピ」以外にもM-1の運営のこともネタにしていた。
結局こうしたことは、今年で20回目を迎えたM-1がパロディにされても大丈夫なほど揺るぎない地位を得た証しと解釈できる。
ニューヨークはその年優勝したわけではない。だが多くの視聴者は、そのときの2人のネタと松本人志とのくだりをよく覚えている。そのくらいM-1の注目度は高く、共通の記憶になっている。だからこそ、ラパルフェの「完コピ」漫才はネタとして成立したのだろう。
M-1が掲げた"真剣勝負"の意味
そもそもM-1は、どのようにして誕生したのか?
2001年、吉本興業の社員である谷良一は、当時低迷していた漫才を復活させるプロジェクトの責任者になった。
そんなある日、谷は島田紳助のもとを訪ねる。世間話がてらだったのだが、「漫才プロジェクト」の話に耳を傾ける紳助の表情は真剣で、いつしか2人は漫才について熱く語り合うようになっていた(谷良一『M-1はじめました。』)。
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