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斎藤知事「告発文書」への対応はやはり問題だ 「パワハラ確認できず」の結論で収束じゃない

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 11時0分

消費者庁は同じ資料で、告発の特異性にかんがみて、こう書き加えている。

「公益通報をする者は様々な事情につき悩んだ末に通報をすることが多く、純粋に公益目的だけのために通報がされることを期待するのは非現実的」

片山氏は一貫して「クーデターを図った不正の目的」などの主張を続けている。定義があいまいでわかりにくいから、いろんな解釈が出てくるのは、ある意味で法の不備でもある。しかも最終的に不正の目的であるかどうかは解釈の問題なので、裁判で争わないとなかなか結論が出ない。

最も重要なのは真実相当性

通報者が保護されるべき条件は、ほかにもある。同法がいう通報対象事実は、犯罪行為や過料を要する法令違反に限定され、現在は503件の法令がリストアップされている。ちなみに、斎藤知事をめぐるパワハラが大きくクローズアップされたが、パワハラは労働施策総合推進法で規定されていて、刑罰や過料の法令違反につながらないので通報対象にはなっていない。

にもかかわらず兵庫県の財務部がパワハラを公益通報として扱ったのはなぜか。問い合わせてみると、県の職員公益通報制度実施要綱で、法令に準じるものとして「ハラスメント行為」を公益通報事実に加えたからだという。

一方で、コーヒーメーカーを受け取るような物品の収受において、仮に金額が大きかった場合、さまざまな職務権限を持つ知事は刑法の収賄にあたる懸念が出てくる。また、阪神タイガースのパレードのための資金を信用金庫に増額してもらう代わりに、信用金庫への補助金の増額をすれば、刑法の背任罪に該当するおそれが出てくる。だが、この告発は裏付けられていない。

そして最も大切なのは、通報内容の「真実相当性」だ。斎藤知事は、3月20日に発覚した告発文書については、「うそ八百」で、その後も「核心部分が事実ではない」などと、真実相当性はないと主張している。

4月4日に県の公益通報窓口に出された文書と3月の文書は、ほぼ同じ内容だ。それにもかかわらず、片方は「うそ八百」で、片方は公益通報として調査結果を公表するという矛盾が生じている。

最初の告発文書は、報道機関などに宛てた外部通報(3号通報)で、内部通報(1号通報)とは通報の条件などの違いがあるにしろ、斎藤知事はその後開かれた百条委員会で、大きな声で叱責したことや、物品を受領したケースがあったことは認めている。

さらにいえば、職員公益通報の調査結果を公表した財務部は、同時に物品供与のガイドラインやパワハラ研修を実施するなどの是正措置を取るよう県に要請している。告発に真実相当性があったことの証左でもある。

不利益がないようにするのが法律のポイント 

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