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暴落の予兆?バフェット「現金50兆円」確保の狙い マーケットをつぶさに分析して見えてくること

東洋経済オンライン / 2024年12月19日 7時40分

通常のPERは今の利益に対して株価が何倍かを計算したものですが、短期の業績動向によって、数値が大きく変動してしまう問題があります。

CAPE指数はそれを排除するため、過去10年の平均利益に対して株価が何倍になってるかを計算します。これが20~25倍を超えると危険といわれているのですが、今は39倍です。ということで、アメリカの株価についていろいろな指標が割高だと示唆しています。

3つの指標が高い水準になっている理由

ただ、なぜ割高といわれるような高い水準になっているのか、理由もあるんです。

1つ目に紹介したバフェット指数が大きくぶれないとされるのは、GDPに占める企業利益の割合が時代とともに大きく変わらないだろうという前提条件があります。

ところが、現実には労働分配率が低下し、企業の取り分である企業利益が上がっています。「マグニフィセント7(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズ)」といわれるような利益率の高い巨大企業の株式市場でのプレゼンスが上がっていて、バフェット指数も時代とともに上がっていかざるをえない。

なので、100超えは危険という基準が今の時代には当てはまらないと思うのですが、じゃあどこまで上がっても大丈夫なのかといえば、そんなことはない。どこに警戒水準があるかはわからないが、今は200を超えていて「これはそろそろ危険なのではないか」という判断はできると思います。

それから2つ目のイールドスプレッドは22年ぶりにマイナスになりましたが、企業の利益成長期待が高い時代にはマイナスのスプレッドは十分ありうる。では今のマイナスのスプレッドは何によって生まれてるのか。おそらくAIブームだと思います。

生成AIは技術的にも大きなブレイクスルーですし、産業構造もどんどん変わっていくでしょうし、生産性もどんどん向上していくかもしれない。

一方で「AIブームって本当にものになるの?」というところはまだ見えてない。そこの期待がはげ落ちたら「マイナスのイールドスプレッドって何だったんだろう? 結局、株価は割高だったね」となる可能性は十分にあると思っています。

3つ目のCAPEレシオについても20~25倍は危険といいましたが、時代とともに上がっていくトレンドになっていて、1990年代以降の平均では30倍ぐらいになっている。

なぜそうなっているのかといえば、最大の理由はカネ余りだと私は思っています。実際の経済活動には使われないお金が余っていて、債券市場や株式市場に流れ込まざるをえない。これが世界的な金利の低下や株価の割高に結びついている。

株価は割高→暴落とはならない

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