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「社員を監視するテクノロジー」が導入される恐怖 「支配される人」ばかり監視されるディストピア

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 11時0分

職場には不穏なまでに多くの監視テクノロジーが導入され、その数は増え続けています(画像:KJ110/PIXTA)

横暴に振る舞う上司、不正を繰り返す政治家、市民を抑圧する独裁者。この世界は腐敗した権力者で溢れている。

では、なぜ権力は腐敗するのだろうか。それは、悪人が権力に引き寄せられるからなのか。権力をもつと人は堕落してしまうのだろうか。あるいは、私たちは悪人に権力を与えがちなのだろうか。

今回、進化論や人類学、心理学など、さまざまな角度から権力の本質に迫る『なぜ悪人が上に立つのか:人間社会の不都合な権力構造』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

「オープン・プラン」オフィスの目的

2014年のある調査によると、アメリカのオフィスの4分の3近くが、今やいわゆる「オープン・プラン」で設計されており、職場を分割する壁は低いか存在しないかのどちらかだという。

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もしあなたが勤務日の一部をX(旧ツイッター)に費やしたり、電話で家族や友人とおしゃべりしたりして過ごせば、誰もが知るところとなる。そして、みんなに知られてしまうことは、あなたも知っている。

このようなオフィスの造りは、被雇用者に有害な影響を与えるという一貫した証拠があるのにもかかわらず、圧倒的な普及率を保っている。

オープン・プランのオフィスについての100の調査を2011年に精査すると、そのようなオフィスは被雇用者を疎外し、彼らのストレスを増し、日ごとの満足度を下げることがわかった。

それだけではない。オープン・プランのオフィスは、協同を促すことがそもそもの主眼だった。ところが、実世界のデータは、その逆になることを示している。オープン・プランのオフィスでは、社会的な交流が70%減るのだ。

中心に1つ監視塔があり、看守には収監者が見えるが、収監者には看守は見えないようになっている、一望監視施設であるパノプティコンのような職場は、監視には向いているが、そこを占める人々にはひどい場所となる。

そのうえ、デジタルテクノロジーの台頭に伴い、企業は労働者についてあらゆることを監視する前代未聞の能力を得た。

職場には不穏なまでに多くの監視テクノロジーが導入され、その数は増え続けている。

襟やネクタイなどにつける、常時オンのラペルマイク、マイクロチップが埋め込まれたIDバッジ、被雇用者が自分の席に着いているかどうかを判断する椅子センサー、コンピューターのキーストローク・モニター、机に向かっている被雇用者の写真を一定間隔で撮影するソフトウェア。

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