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金はまだ「買い」!2025年に3000ドル到達も "金利がつかない"のに金の価格が上がるワケ

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時0分

金に対しては短中期・中長期・超長期で、7つのテーマが大きく左右している。

まず短中期では、「有事ムード」(不安発生時の資金の逃避先)、「代替資産」(株の代わり)、「代替通貨」(ドルの代わり)の3つ。また中長期では、「中国やインドの宝飾需要」(新興国での個人の売買)、「鉱山会社」(ヘッジ動向)、「中央銀行」(外貨準備高における金保有量の増減)の3つである。

そして超長期においては、「見えないジレンマ」(世界の民主主義の行き詰まり、世界分断の深化)だ。これらは多かれ少なかれ、金市場に対して、絶えず上下いずれかの圧力をかけている。

近年で2023年半ばから直近までの突出した上昇は、短中期のテーマのうち、「有事ムード」と「代替通貨」による影響が大きい。

まずウクライナ戦争が長期化したこと、中東情勢が緊迫化していること、北朝鮮がミサイル実験を続けていることである。これらが有事ムードをかき立て、金相場に強い上昇圧力をかけている。

同時に、利上げ一辺倒だったアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ方針に転換したのを受け、金利ゼロである金の保有妙味が相対的に増しやすくなった。これは代替通貨に起因する上昇圧力だ。

一方で、アメリカ株式市場が高騰する場面が見られるため、「代替資産」の圧力はおおむね収束に向かっている。結果的に有事ムードと代替通貨という2つのテーマによって、突出した金価格の上昇が起こっていると言えるだろう。

中央銀行が買っている事実も大きい

では2000年ごろから始まった、超長期の緩やかな上昇トレンドのテーマとは何か。

当初は「中国やインドの宝飾重要」による影響が大きかった。2000年代前半に発生した新興国の圧倒的な経済成長が、国内の個人の可処分所得を増やし、金を購入する動機を強めていった。

2010年以降は、世界全体の民主主義が行き詰まりを見せたことが一因となり、世界の分断が加速した。これによって、複数の戦争が勃発したり、非西側の資源国による原油などの出し渋り(減産や輸出制限など)が目立って、大規模な高インフレがもたらされたりしたのである。

その結果、「中央銀行」による金の買い数量が売り数量を上回る状態が続いたり、「見えないジレンマ」が大きくなったりした。

目先、金価格は細かい上下を伴いながらも、上昇すると考えている。トランプ氏が米次期大統領に返り咲くことによって、中東情勢を含めた幅広い分野で有事ムードが強まったり、実質的な通貨安であるインフレが発生したりする見込みがあるためだ。

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