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金はまだ「買い」!2025年に3000ドル到達も "金利がつかない"のに金の価格が上がるワケ

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時0分

これらを通じて、「有事ムード」と「代替通貨」による短中期の上昇圧力が続くため、目先の上昇トレンドは持続するだろう。

「世界の分断」がSNSで増殖している

同様に、緩やかな超長期上昇トレンドは、2010年ごろから目立ち始めた「見えないジレンマ」や「中央銀行」の動向によって、やはり継続する可能性が残る。とくに民主主義の行き詰まりと世界の分断は、ESG(環境・社会・企業統治)やSNS(交流サイト)が持つ負の要因が膨張したことが一因であることも否めない。

このうちESGは、企業が環境問題や社会問題に取り組む姿勢を評価し、投資先にふさわしいか判断する基準として普及した。

それも2023年には、ESG関連の投資信託からの資金流出が過去最大に達したり、アメリカ金融大手のCEOが「もうESGという言葉は使わない」と発言したりするなど、岐路にさしかかっているようだ。これは行きすぎた環境への配慮などが世界分断を助長してきたことを示唆していよう。

また、“一方的な民意”を作り上げることがあるSNSが普及したため、世界では民主的とは言いがたい出来事が散見されている。

武力衝突による政権転覆が相次いだ2010〜2012年のアラブの春、2016年と2024年のトランプ氏の大統領選挙勝利は、その好例である。SNSで偽の情報が横行したり、誹謗中傷が相次いだりして、建設的な議論ができなくなっていることも、世界分断が進んでいる証しだ。「見えないジレンマ」もなくなることはないのではないか。

筆者としては2025年、細かい上下を伴いながら、金相場は上昇すると予想する。いずれかのタイミングで、ニューヨーク金先物価格は3000ドルに、国内地金の価格は1グラム当たり1万6000円(11月下旬で1万4000円台)に到達すると考えている。

吉田 哲:楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト

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