「骨の老化」を甘く見る人が知らない"ドミノ骨折" 「骨こそが健康長寿のカギを握る急所」の理由
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時15分
骨は人の老いと深く関わるもの――。
東京大学医学部老年病学教室の元教授で、90歳を迎えた今も現役医師として働く折茂肇医師は、そう語ります。
骨が高血圧や動脈硬化などさまざまな病気にも影響するといいますが、それはなぜでしょうか。
折茂医師の新著『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』より一部抜粋・編集してお届けします。
人は骨とともに老いる
私はこれまで、老年医学、とくに骨の研究に長年身を捧げてきた。その中で、「人間の体の老い」に興味を持ち、自らのライフワークを支える考えと出会った。それが「人は骨とともに老いる」ということである。
イギリスの著名な医学博士、ウイリアム・オスラー先生が残した「人は血管とともに老いる」という名言があるが、私はそれになぞらえ、あえて「骨」とした。血管と同様、いや、それ以上に骨は人の老いと深く関わるものと考えたからだ。
我々の体内では、新陳代謝によって、古い骨が壊され、新たな骨が作られるという営みが常に繰り返されている。日々新たに作り替えられることで、骨は強さを保っているのだ。骨はカルシウムを蓄えつつ、人の臓器を守り、健康な体とその活動を支えている。
人が成長するのに伴い、骨は長く、太く、丈夫になり、成人になったとき最も成熟する。「骨を構成するカルシウムなどが骨にどのぐらい詰まっているか」を表す「骨密度」は、20歳ごろに最も高くなる。しかし、50歳を過ぎるころから新陳代謝のバランスが崩れ、骨密度が低下していく。
骨密度が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気が「骨粗鬆症」だ。骨折しやすい場所は年齢により異なるが、一般的に手首(橈骨〈とうこつ〉)や背中(脊椎)、足の付け根(大腿骨)などに起こりやすい。若いころと比べて骨密度が70%以下になると骨粗鬆症と診断される。
骨粗鬆症の原因は、加齢による骨の老化、女性ホルモンの欠乏、運動不足、カルシウム不足など、さまざまだ。女性ホルモンと関わりが深いため閉経後の女性に多くみられるが、男性にも起こる。男性はとくに、80歳を超えてから骨粗鬆症の症状が現れる人が多いという特徴がある。
「たかが骨」「たかが骨折」ではない
骨粗鬆症は、古代エジプト時代からあったといわれるほど、古くからある病気だが、注目されるようになったのは近年になってからだ。その理由の一つは、人間の寿命が長くなったことと想像できる。昔の日本では、骨粗鬆症が問題になるほど長生きする人は珍しかったのだろう。
この記事に関連するニュース
-
骨がハサミで切れるほどふにゃふにゃに…最悪の場合「寝たきり」を招く抗炎症剤「ステロイド」の深刻な副作用
プレジデントオンライン / 2024年12月15日 9時15分
-
60代までに知っておくべき!血管の詰まりを予防する「7つの生活習慣」【医師監修】
HALMEK up / 2024年12月8日 18時50分
-
血管の若返りや免疫力UPも「みそ汁」のスゴイ効果 肝臓専門医が解説「具材に何を入れるかがミソ」
東洋経済オンライン / 2024年11月30日 7時0分
-
がんでも脳卒中でも心筋梗塞でもない…75歳以上の8割が5年以内に死亡する「寝たきりを招く病気」の名前
プレジデントオンライン / 2024年11月28日 9時15分
-
冬は血管がドロドロになりやすい…「絶対に放置してはいけない脳卒中」リスクが急増する"危険な場所"
プレジデントオンライン / 2024年11月21日 18時15分
ランキング
-
1申請しないと「1円ももらえない」年金の"正体" 要件さえ満たせば年間で約40万円もアップ!
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時35分
-
2カット野菜「100円の壁」維持に限界 キャベツ高騰の影響のほかにエネルギーコストや人件費が上昇
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月20日 17時3分
-
3ついに開始、日本版「信用スコア」の衝撃と不安 期待高まる一方、目的外利用などのリスクも
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 7時55分
-
4品数“厳選”勝負で業績好調の「業務スーパー」が抱える2つのジレンマ…ユニクロやニトリに類する神戸物産のビジネスモデル
集英社オンライン / 2024年12月20日 7時0分
-
5シャープ、ソフトバンクに堺工場の一部売却 約1000億円
ロイター / 2024年12月20日 18時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください