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カワサキ、最新「メグロS1/W230」に感じる昭和 手頃な軽二輪モデルで伝統の姿と鼓動を再現

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 10時20分

とくに音質は、1960年代の250ccモデル「メグロ・ジュニアS8」の現車を旧車ファンのオーナーから借りて、徹底的に研究したそうだ。しかも、昔のバイク用マフラーと違い、排気ガスや音量など、現代のよりきびしい規制値をクリアする必要もある。そのため、開発者は「幾度となくテストを繰り返し、試作品の数は30をゆうに超えた」と語る。

その効果もあってか、メグロS1とW230の排気サウンドは、当然ながら昔のバイクほどの大音量でこそないが、心地よさという面ではかなり良好。これらモデルの魅力のうちでも、とくに大きなポイントとなっているといえるだろう。

そして、実際の走り。アクセルを軽くひねりながらクラッチレバーをミートすると、スルスルと軽快に車体が走り出してくれる。とくに両モデルのエンジンは、低回転域からかなりトルクフル。パワーユニット自体は、オフロードモデルの「KLX230」シリーズと共通だが、より低い回転からトルクが出るため、信号待ちからの発進でも流れを十分にリードすることが可能だ。

全域で気持ちよくまわるエンジン

また、シングルエンジン特有といえる、高回転までまわすと頭打ちする感覚がなく、全域でスムーズに吹け上がる感じだったことにも驚いた。あくまで、筆者の経験上での感覚だが、単気筒エンジンは、あまり高回転までまわさず、加速する際は早めにシフトアップしたほうが心地よく走れることが多い。

もちろん、メグロS1やW230も、そうした走り方で、回転をあまり上げずにドコドコ感を味わうことが楽しいバイク。高回転までまわし、目を吊り上げてガンガンに走るというより、まわりの景色なども楽しみながら、ゆっくりと流して走ることで、心地よい走りを堪能できる。そして、それこそが、これらモデルの大きな魅力だともいえる。

だが、かといって、高回転域がつまらないという訳でもない。例えば、ギアを2速や1速に落として旋回するタイトなコーナーからの立ち上がり。加速時に一気にスロットルをひねっても、トルクの谷を感じさせず、パワーが心地よくスムーズに吹け上がる特性も併せ持っている。

もちろん、低・中回転域と比べると、4000rpmから上の高回転域までは、パワーの出方がややフラットになる印象だ。でも、筆者が持っている空冷シングルの既成概念を覆すほど、全域でストレスを感じさせないスムーズな特性であることは間違いないだろう。

ウェット路面でのコーナリング

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