もう泣き寝入りしない「フリーランス新法」の中身 契約の仕方など知っておきたいポイントを解説
東洋経済オンライン / 2024年12月23日 10時0分
フリーランスは取引先との交渉で不利な立場に置かれやすい。内閣官房の実態調査によると、推計462万人(副業248万人)いるとされるフリーランスの約4割が、取引先とのトラブルを経験していた。
【図で見る】フリーランスでも作れる、契約書メーカーで作った「契約書」
そんななか2024年11月1日に施行されたのが、フリーランスを保護し、働きやすい環境を整える「フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」だ。
新法は会社員にとっても他人事ではない。人生100年時代、退職後にセカンドキャリアが用意されている保証はなく、残りの人生をフリーランスとして働き続けるという「予備軍」は決して少なくないからだ。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会平田麻莉代表理事に、フリーランス法の重要ポイントやトラブルを防ぐための自己防衛術、適正な取引価格の考え方などを聞いた。
KADOKAWAが下請法違反
11月12日、大手出版社「KADOKAWA」と子会社「KADOKAWA LifeDesign」が、下請法違反(買いたたき)で公正取引委員会から再発防止の勧告を受けた。
雑誌『レタスクラブ』の事業において、販売収入や広告収入が減少するなか、資材費や輸送費が上昇しているとし、利益改善を図るために、原稿の執筆や写真撮影などを委託した事業者に対して、発注単価を一方的に約6.3%ないし約39.4%引き下げていた。
下請法で下請事業者が守られるのは、発注事業者の資本金が1000万円を超える場合のみ。そのため、「発注事業者は資本金を1000万円以下に抑えておけば、下請法を守らなくても許されるという法律の抜け穴があった」(平田氏)という。
一般的にフリーランスは「予算の調整弁として報酬を減額させられる、顧客の気分次第で仕事のやり直しを繰り返しさせられるなど、ハラスメントを含めてさまざまな問題が生じても、泣き寝入りをせざるを得ない状況に置かれていた」と平田氏は指摘する。
2020年より厚生労働省から委託を受けた第二東京弁護士会が運営している「フリーランス・トラブル110番」にも、「報酬の支払い」(28.1%)や「契約条件の明示」(16.9%)などの相談が多く寄せられていた。
■フリーランス・トラブル110番の相談内容
報酬の支払い 28.1%
契約条件の明示 16.9%
受注者からの中途解除・不更新 9.4%
発注者からの損害賠償 8.4%
発注者からの中途解除・不更新 9.4%
出所)厚生労働省「フリーランス・トラブル110番について」より
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