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日本にも上陸「ロボタクシー」日米中の"覇権争い" 競争激化で戦略を見直す大手も出てきた

東洋経済オンライン / 2024年12月23日 9時30分

自動運転技術への投資、車両の生産のために巨額の資金を必要としており、早期上場が成長の鍵を握っていた。

アメリカでは強敵も待ち受ける

冒頭の舛添前知事の「中国に先を越された」「日本は中国に負けている」論に話を戻そう。たしかに先進技術の実装においては中国のスピード感は日本を圧倒するが、収益化は別の話だ。

中国メディアの分析によると、Pony.ai、WeRideを含めて中国には上場・上場準備をしている自動運転スタートアップが10社あるが、うち9社が赤字となっている(残る1社は財務データが公開されていない)。

Pony.ai、WeRideの創業者がかつて在籍していたバイドゥも武漢市でロボタクシー400台を展開しており、年内に1000台体制に拡大しようとしている。

国内の競争もさることながら、海外進出にも積極的な中国勢は、アメリカ・アルファベットの子会社であるWaymo(ウェイモ)とも競争しなければならない。

アメリカでロボタクシーの有料サービスを提供するウェイモはアリゾナ州フェニックスやカリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルスに営業地域を広げ、12月17日には日本交通などと組み、自動運転技術の実証を東京都内で2025年にも始めると発表した。10月にアルファベットやベンチャーキャピタルなどから56億ドルを調達しており、資金力で優位に立つ。

さらに10月、テスラがロボタクシーやロボバンの試作車を公開し、ロボタクシーは2026年の生産開始を目指すと発表した。テスラの参入は、ロボタクシー業界を盛り上げると同時に、スタートアップにとっては大きな脅威になる。

競争激化で戦略見直す大手も

ロボタクシーが有望分野であることは間違いないが、競争激化で方針を見直す大手も出てきた。

アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)は今月10日、傘下のGMクルーズが手掛けるロボタクシー事業から撤退すると発表した。

クルーズは2023年10月にサンフランシスコで人身事故を起こし有料サービスを停止していた。事業が軌道に乗るまでの投資と競争環境などのリスクを勘案して、経済合理性が成り立たないと判断した。

GMの撤退のとばっちりを受けたのがホンダだ。クルーズに出資するホンダは、GMも含めた3社でロボタクシーを開発し2026年に日本に投入する計画を2023年10月に発表したばかりだったが、プロジェクトは白紙となった。

収益化までの資金需要、手強い競合、そして各国の規制……。Pony.aiとWeRideにとって上場はハードルを1つ越えたに過ぎない。2社とも上場後の株価は発行価格近辺で推移しており、投資家の期待と不安が現れている。どこが勝ってどこが負けたか、それが見えるのは数年先のことなのだ。

浦上 早苗:経済ジャーナリスト

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