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「1000億円投資」ジャパネットが握る長崎の"命運" 異例の「民設民営」スタジアムに見る"究極の地元愛"

東洋経済オンライン / 2024年12月24日 12時5分

ジャパネットホールディングスは通信販売・EC事業で会社を成長させてきた。写真はマスコットキャラクターの「Jくん」(写真:筆者撮影)

通信販売でおなじみのジャパネットホールディングス(以下:ジャパネットHD)が今年10月にオープンした複合施設『長崎スタジアムシティ』。

前編『長崎「試合がない日も1万人」スタジアムの凄さ』では、開業から2カ月で来場者95万人を記録し幸先の良いスタートを切った同施設を実際に訪れ、紹介した。後編となる今回は、ジャパネットHDが異例の開発に至った経緯や今後の課題について分析する。

多いのは「公設民営」

サッカーに限らず、プロスポーツ仕様のスタジアムは、数百億円にものぼる初期投資(建設費用)の捻出が大変だ。この負担を和らげるために、国や自治体からの補助が活用されるケースが多い。2024年に開業した「エディオンピースウイング広島」の例を取ると、「建設費用の2/3を自治体・国で負担」、「開業後も広島市が所有」、「チーム(サンフレッチェ広島)が運営管理、委託料で回収」という「公設民営」方式を取っている。

【画像10枚】高田明氏の父が創業した「カメラのたかた」(長崎県平戸市)やムーディーな夜のスタジアムを写真で見る

しかし、長崎スタジアムシティは「ジャパネットホールディングス」(以下:ジャパネットHD)による「民設民営」。アリーナ・商業施設・オフィスなどを含めた総投資額は、同社の通販風に言えば「すべて、コミコミで、全部お付けして!」約1000億円にのぼる。

なお、ジャパネットHDは年間売上高2630億円(2023年12月期)、中核となる事業は言うまでもなく、テレビショッピングなどの通信販売・EC事業だ。

なぜジャパネットHDは、2本目の事業の柱として「スポーツビジネス」「都市開発」に力を入れ、ここまでの投資を行うようになったのだろうか。まずは「長崎スタジアムシティができるまで」という前史から辿ってみよう。

【画像10枚】高田明氏の父が創業した「カメラのたかた」(長崎県平戸市)やムーディーな夜のスタジアムを写真で見る

いまの長崎スタジアムシティの敷地には、防衛省・JAXA向け商品を製造する「三菱重工業幸町工場」があった。同社の拠点再編もあって工場が閉鎖(諫早市などに移転)されることになり、広大な用地の売却先に名乗りを挙げたことから、ジャパネットHDとこの地の縁が始まる。

約4000社のグループ会社を持つグローバル企業・三菱の歴史は、1870(明治3)年に長崎藩の海運事業を譲渡されたことから始まる。創業の地・長崎との関係を重視する三菱重工業は、「活気あふれる持続可能なまちづくりを先導する拠点」などのコンセプトを打ち出し、跡地を街の活性化に活用してくれる売却先の公募を始めた。

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