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「1000億円投資」ジャパネットが握る長崎の"命運" 異例の「民設民営」スタジアムに見る"究極の地元愛"

東洋経済オンライン / 2024年12月24日 12時5分

ジャパネットHDでは社内でサッカーが話題にのぼることも多く、2012年の「V・ファーレン長崎」JFL→J2昇格時もサッカーの話題で持ちきりだったという。また同社の地盤である長崎県は、かつての強豪「横浜フリューゲルス」(横浜マリノスとの合併で1999年に消滅)の準本拠地でもあり、別の場所で検討されていた「新スタジアム建設構想」に10万2000筆の署名が集まる(2015年1月19日・朝日新聞より)など、土地柄としてサッカー熱がかなり高い。

さらに、スタジアムの建設が明らかになった2018年には「V・ファーレン長崎」がJ1で戦っており(1年でJ2降格)、「約500人でイングランド・プレミアリーグ観戦」という豪快な社員旅行を実施するなど、会社を挙げてサッカーを楽しむ風土があるようだ。スタジアム建設の構想は、社内でも「ロンドンで見たようなサッカー場(トッテナム・ホットスパー・スタジアム)が長崎に誕生するかもしれない」という、岩下社長いわく「ワクワク感」を抱く向きが多かったという。

もともとジャパネットHDは実質無借金経営を貫くほどに安定経営を続けており、通信販売のカリスマ・髙田明氏から髙田旭人・現社長への交代後も、右肩上がりの成長を続けている。十二分な経営体力を持っていたこともあり、他地域のような「公有民営」ではなく、スタジアムを含めた建設費用や運営もすべて自社で行う「民有民営」という経営判断が下された。

長崎の未来を背負う存在に

長崎県を拠点に企業として成長していたジャパネットHDは、第2の事業の柱として「スポーツ・地域創生事業」を掲げている。長崎の地域活性化という使命とともに「三菱重工業幸町工場跡」を託された同社にとって、長崎スタジアムシティの収益化は、会社の未来と長崎市の今後がかかった至上命題でもあるのだ。

ただ普通の企業なら、特定の地域への集中投資や費用の増大、大規模な福利厚生(社員旅行)などは、株主や関係者から異議が出かねない。しかしジャパネットHDは創業から非上場を貫いており、岩下社長も「(もしジャパネットHDが)上場企業なら、ここまでの投資はできていなかっただろう」と語っている。

2カ月で95万人を集客した長崎スタジアムシティの、今後の課題を聞いてみよう。

岩下社長によると、スタジアムやアリーナが生む熱狂的な応援は「大きく及第点を超えている」といい、「まずは新しいスタジアムを見に行こう!」という来客も多く見られるという。

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