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ホンダの「救済統合」否定で日産が問われる覚悟 チラつくホンハイの影、ルノーが握る「決定権」

東洋経済オンライン / 2024年12月25日 7時20分

最終合意は2025年6月だが、統合へ進むかどうかは三菱自が判断する2025年1月末までに見極めるとする。それまでに日産が構造改革を実行することを説得力のある形でホンダに示せるかがポイントになる。

日産の内田誠社長は会見で「私の口から言うのも何だが、日産が厳しい状況になったのは経営責任だ」と語った。日産には取締役や常務執行役員以上で50人超の経営幹部がいる。こうした体制が経営の意思決定を遅らせ、現在の苦境を招いたのは間違いない。

ホンダ主導に日産側からは不安の声も

持ち株会社の社長はホンダ側が選定。取締役の過半もホンダが指名する。その理由は「資本の論理」(三部社長)だ。時価総額はホンダが約6.7兆円、日産が約1.6兆円と4倍の開きがある(12月23日時点)。

両社の力関係は明白とはいえ「立ち上がりはホンダがリードするが、永遠にリードするわけではない」(三部社長)とする。内田社長も「どちらが上、どちらが下ではない」と強調した。ただ、日産本社で働く社員は「最終的にはホンダに吸収されてもおかしくない。さらなるリストラとならないか」と不安を募らせる。

部品などのサプライヤーへの影響も避けられない。東京商工リサーチによれば、ホンダの取引先は1.5万社、日産の取引先は1.3万社、重複は5000社程度ある。統合によって発注や生産体制の集約化が進めば、淘汰が進むのは自然な流れだ。

日産の大手部品サプライヤー幹部は「ただでさえ日産は生産計画の下方修正を何度も繰り返していて厳しかったが、これからどうなるのか想像がつかない。2社統合で価格交渉が厳しくなることも懸念している」と明かす。

構造改革と経営統合で社員や取引先に負担を強いるのは確実。まず内田社長はじめ経営幹部の責任を明確化するのが先決だろう。そうでなければステークホルダーの理解は得られない。

統合の行方はまだ波乱含みだ。今回の基本合意の背後には、日産への出資に関心を示しているとされる台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の影がある。「われわれに対するアプローチの事実はいっさいない。何も事実がない中でコメントできない」(内田社長)、「報道を読んで知っているくらい」(三部社長)と、両社長はこの噂を否定した。

だが、ホンハイが日産に対して出資の提案を行ったと複数の関係者が証言している。台湾メディアはホンハイの幹部が日産株の取得交渉のために日産の筆頭株主であるフランスのルノーと交渉していると報じている。

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