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誰でも「Webライター」になれる時代に生き残る術 人を惹きつける文章を書くために必要なこととは

東洋経済オンライン / 2024年12月26日 11時0分

文章もそれと同じです。情報を伝えるだけの文章は面白く何ともないんですよ。一歩引いた目線でいろんな要素を取り込む、あるいは書き手として培ってきたものを全部盛り込んでいく意識が必要です。それには前回の記事(『コタツ記事が蔓延するwebメディアに対する苦言』)でお話ししたような幅広い読書やそこで磨いてきたアンテナ、文章表現力、観察力が重要になってくるわけです。

例えば、公園に1本の空き缶が落ちていたとします。そのまま書いただけでは事実の報告にすぎないですよね。でも、そこに明日から入院する難病の子がやってきて、その空き缶で缶蹴りをしたらどうでしょうか? ゴミにすぎなかった空き缶が思い出を生んだ遊具となり、意味の変化が生まれるのです。

ノンフィクションとして大事なのは、このようにある事象に対して著者や登場人物の体験や行動を重ねることで別の意味を見出していくことです。この「意味の変化」こそが、読者の深い感情や知的好奇心を揺さぶる強い力となるわけです。

難病の子はあくまでも一例ですが、空き缶の周りを見てみれば、鉄棒があったり、カラスがいたり、いろんな選択肢があるわけです。何かを描写する際にそのものを見るだけでなく、一歩引いた視点や違う視点から見て描写できるかどうか、そういう発想ができるかどうか、そこは今までの自分の勉強や体験など、やってきたものを全部つぎ込んでやろうっていう意気込みがないと無理なわけです。常に全てをかけてやっていかないと人の心を動かす文章は書けません。

でも、それはすべての文化に対して言えることだと思うんですよね。音楽だって作り手の生き方をそのまま反映している。逆に言うと、仕事として切り分けてやるには難しいと思うんですよ。自分の生き方がそのまんま文章に出ます。

伝えるのは情報ではなく、人生のダイナミズム

――全く知らない分野の取材を始めるとき、石井さんは何から取り掛かりますか?

スタート地点でその分野を知らないことはメリットだと思います。だからこそ、一般人の目線に立ってどこが人の興味を引く部分なのか見抜けるので。知りすぎているとその業界の価値観に染まっているので、そのまま書くと一般人には読みにくい専門書や学術書に近いものになってしまうかもしれません。

ただし、全くの素人が始めるとしても、最後まで素人だったら全然面白くない、無知なだけになってしまうので、まずはその分野の本を読み漁ります。そこで得た知識はあくまでも参考というか、業界の全体像や歴史を知る意味合いです。

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