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誰でも「Webライター」になれる時代に生き残る術 人を惹きつける文章を書くために必要なこととは

東洋経済オンライン / 2024年12月26日 11時0分

その後取材で実際に人に会いに行ったときに、面白いと感じる話が出てきます。取材で心を動かされたり、より興味を引かれたりした部分を補強するために、改めて業界をもう一回勉強し直します。

でも気を付けているのは、勉強したことは極力書かないことです。本から得た情報をそのまま引用しているだけでは解説めいたものになって、人生のダイナミズムみたいなものが見えにくくなってしまうのです。それは全然自分の声、文章ではないんですよ。

以前ルポ『浮浪児 1945- 戦争が生んだ子供たち』にまとめた浮浪児の取材に取り組んだ際の例でお話ししましょう。取材を始めた頃、浮浪児について取り上げた先行研究やノンフィクションはほぼありませんでした。しかし、東京大空襲で浮浪児がたくさん生まれた話は聞いたことがあったので、まずは東京大空襲についての本を30冊くらい読みました。

しかし、実際人に会って取材を進めていくと全然違う話が出てくるわけです。例えば上野公園は当時、男娼たちが多くいたそうなんです。そして浮浪児とも関りがあって養ったりしてくれていたんですよ。でも一方で性的虐待を受けることもあったみたいな話もあって。

また街娼たちが、浮浪児たちを家に連れて行って、漢字や算数を教えてくれたけど、仕事の鬱憤を自分たちで晴らされるときもあった、つらかったと話すわけです。

文献にはない、心が動くストーリー

こういう人間の生きざまみたいな話は、文献からは出てこないですよね。街娼たちの話は研究したものがたくさんあるのですが、なぜ街娼は生まれたのか、なぜ差別されたのか、といった研究論文のようなものが多く、そのような堅苦しい文章では人生のダイナミズムが見えにくくなってしまっています。実際に彼ら彼女らの暮らしぶりや浮浪児との関りなど、血の通った部分こそが人の心を惹きつけるのです。

読者はやはり人の生きざまやドラマを知りたい、心を動かされたいというのがあります。そこは情報としてのテキストとは違うものなので、人の心に訴える文章を生み出すためにはどう伝えるべきかと常に考えています。

一方で、そうした文献は、取材で得た情報をよりリアルに描写するための詳細としては参考になります。例えば、浮浪児たちは街娼の服装なんてさほど覚えていないし、違いもさほど認識していない。でもしっかり勉強すると街娼ならではのファッションがあったりするので、そういうのを描写の中にしっかり入れることで文章に奥行きが出せるわけです。

煽りタイトル問題、どう考える?

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