「DV夫から逃げた妻」がその後20年近く苦しんだ訳 命がけで逃げた母と息子の「現在」
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 12時0分
初めて彼女と会ったのは、昨年の春でした。虐待された経験のある若者たちを追ったドキュメンタリー映画「REALVOICE」の上映会が都内で行われた際、たまたま彼女の隣に筆者が座ったのです。
優しそうな雰囲気のその女性は、監督らによるトークショーの質問時間に手を挙げ、自身が過去にDVを受けて離婚したことや、息子が10代だったとき児童養護施設に預けていたことを口にしました。
会場には児童養護施設出身の若者や、いわゆる支援職の参加者が多くいました。そこで、子どもを預けた「親」の側である彼女が発言するのは、ちょっと勇気がいったことでしょう。
帰りに軽く立ち話をし、名刺を渡して別れたところ、ちょうど1年ほど経った今年の春、彼女からメールが。西新宿のファミレスで薫さん(仮名・60代)のお話をじっくりと聞かせてもらいました。
襟元を掴まれ、頭を床に何度も打ち付けられる
薫さんが元夫と知り合ったのは、今から約30年前、友達の紹介でした。いま思えば「家から出るための結婚」だった気もするといいます。薫さんは小さいときから、母親から激しい精神的虐待を受けていて、とにかく早く実家を出たくて仕方がなかったそう。
夫から最初に暴力を受けたのは、結婚して半年経った頃でした。夫の友人の話を聞いたときに違和感を抱き、「ちょっとそれ、おかしいんじゃない?」と口にしたところ、夫は「友人を悪く言われた」と逆上し、いきなり薫さんを殴ってきたのです。鼻血が流れ、ショックを受けた彼女は、布団を被って震えていたといいます。
話を聞いてすぐに駆けつけたのは、夫の母親でした。姑も夫から激しい暴力を受けていたため、息子が父親と同じようになることを恐れたようです。姑は薫さんに土下座して、「離婚してください」と頼んできました。
でも、薫さんにとって離婚はあり得ない話でした。暴力は今回だけだと思っていたし、離婚などしたら実家へ戻らねばならなくなります。それは、彼女にとって何よりも避けたいことでした。
その後、薫さんは妊娠。しばらくはよかったのですが、子どもが生まれて3カ月ほど経つと、再び暴力が始まりました。薫さんは毎日、料理や洗濯など家事をしていたのに、夫は「お前は今日も何もしていない」などと言って、彼女に手を上げるように。薫さんが赤ちゃんのお世話で忙しく、自分が構ってもらえないことが面白くなかったようです。
暴力はいつ始まるかわかりませんでした。夫はとても外面がよく、優しそうに見え、職場の上司から何か言われても反論などしないのですが、そのぶん、家に帰ると些細なきっかけで激昂し、薫さんに殴りかかってきました。
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