飼い主が切望「泡を吹いて死んだ」愛猫の死の真相【再配信】 獣医病理医がすすめない「ネコの飼い方」の結果
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 8時10分
【獣医病理医の中村進一氏がこれまでさまざまな動物の病気や死と向き合ってきた経験を通して、印象的だったエピソードをご紹介する本連載。2024年に配信した記事の中でも、とくに反響の大きかったものをお届けします。こちらは2024年5月19日に公開した記事の再配信です。】
飼っている動物が病気になったら、動物病院に連れて行きますよね。動物病院には外科、内科、眼科など、さまざまな専門領域の獣医師がいますが、獣医病理医という獣医師がいることを知っていますか?
獣医病理医は直接患者さんと接する機会はあまりありませんが、手術で摘出された患部を顕微鏡で観察して病気の診断をしたり、亡くなった動物を病理解剖して死因を明らかにしたりしている、獣医療や獣医学になくてはならない存在です(ただし動物病院に獣医病理医がいることはまれです)。
今回は、ネコの死を巡るお話を、2回に渡ってお届けします(今回は前編です。後編はこちら)。
ネコは自由に出歩けるのが幸せ?
サザエさん一家が飼っているタマのような「外飼い」のネコ、もしくは地域住民がみんなで、将来的に飼い主のいないネコをなくしていくことを目的に面倒を見ている「地域ネコ」と呼ばれるネコたちがいます。
その多くは、外にいるといっても首輪をつけていて、餌もきちんと与えられている毛艶のいいネコたちです。
そんな外飼いのネコの飼い主さんのなかには、「ネコという動物は外を自由に出歩けたほうが幸せだろう」と考えておられる方が一定数います。よかれと思って、あえてネコを出歩かせているのですね。
ネコという動物には「自由」とか「気まま」とかといったイメージがありますから、飼い主さんたちがそのような気持ちになるのもわからなくはありません。
ただ、多くの動物の死に接してきた獣医病理医としては、ネコの外飼いは決しておすすめできません。屋外はネコにとって死に直結する危険にあふれており、ぼくはこれまで外飼いが原因で死亡したネコたちをたくさん見てきました。
泡を吹いて死んでしまった
「うちの子が急にもだえ苦しみ出して、泡を吹いて死んでしまったんです」
50代の男性が、飼いネコの遺体を持ってやってきました。
飼い主さんは独身の男性で、ご両親もすでに亡くなり、その雄の茶トラのネコと家族のように接して暮らしていたそうです。遺体を解剖して死因を探ってほしい――病理解剖(剖検ともいいます)の依頼でした。普段から外を自由に出歩いているネコということでした。
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