立川談志「殺しはしませんから」弟子の親に説く訳 「伝説の落語家に弟子入り」とはこういうことだ
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 11時40分
「師匠には、1万回以上怒られました。『馬鹿野郎!』なんて、ほとんどあいさつ代わりでした」
そう話すのが、伝説の落語家・立川談志の弟子であり、現・立川流真打の立川談慶氏だ。「前座」という修業期間を「9年半」という異例の長期間すごした談慶氏は、こう語っている。
「私を含めて弟子たちは、狂気としか思えないほどの『気づかい』を要求され続けていました。でも、その結果得た果実を手中に収めることができたのは、談志ではなく、弟子である私たちだったのです」
落語界の師匠と弟子という、普段私たちが垣間見ることのできない世界。その伝統の中で培われてきた「気づかいの本質」を描いた書籍『狂気の気づかい: 伝説の落語家・立川談志に最も怒られた弟子が教わった大切なこと』が上梓された。
ここでは、落語界に特有の「師弟関係」とはどんなものなだったか、その特殊性を解説してもらう。
「殺しはしませんから」弟子の親に告げた談志の意図
「落語家に弟子入りする」
【書籍】警告!本書には過激な「罵倒の言葉」が含まれます。罵倒された本人である筆者が「最終的には」感謝している事実に鑑み、SNSなどで炎上させるのはご遠慮ください。
皆さまはこの行為をどのようにイメージしていらっしゃいますでしょうか。
私が弟子入りしたとき、よく聞かれたのが「給料はどのくらい出るの?」でした。
このような質問をしてくる人はおおむね一般企業の、しかも割と安定したポジションにいた人でした。私は毎回必ずこう答えました。
「いえ、給料はいっさい出ません。基本無給です」
そう答えた瞬間、相手の顔色がいっきにがらりと変わったものです。
「え? なんで? じゃあどうやって生活するの?」
ここで、この人は初めて落語家の大変さと、師弟関係を含む周辺の「異常さ」に気づく格好となります。
そうなんです。「落語家に弟子入りする」という行為は、よほどマニアックに落語が好きでもないかぎり、「変質的・異常的行為」と言っても過言ではないのです。
「会社の上司・部下」や一般社会の「先輩・後輩」という認識から激しく逸脱するのが、「師弟関係」なのです。
談志が健在の頃、入門する際、「まずは両親を連れて来る」というのが鉄則でした。
「親を見ればどんな奴かわかる」というのと同時に、いま思えば「しばらくは食えないから、ある程度面倒見てあげてよね」という、談志からのメッセージでもありました。
いまから30年以上前に弟子入りした私ですが、これらの特別な状況を端的に説明するセリフを談志は用いました。
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